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「期待されないのは寂しい」 レスリング藤波朱理、116連勝中の“重圧ない”と語るワケ

今は「パリオリンピックしか見ていない」

 何よりも強さの核となっているのは、レスリングそのものへの思いだ。

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「レスリングは自分にとって人生なので。それがなければ、という感じで、嫌になったりやめたくなったことはないです」

 自らやりたいと思って始めて、自ら「強くなりたい」と思って懸命に練習してきた。自身の意思が根っこにあるからこそ、かけがえのない存在になり得たのだろう。

 このレスリングへの強い思いもまた、藤波を育む土壌となった。

「レスリングはつかむところもないですし、武器も使わないですし、人と人のありのままというか人間と人間の力やバランス、気持ち、そういったものの勝負になるのが魅力です。(試合の)6分間に1人ひとりが人生を懸けてやっているので、自分はかっこいいな、と思います」

 今、心にあるのは2024年のパリ五輪。2023年は、そのための重要な1年だ。

「今は本当にパリオリンピックしか見ていなくて、そのために世界選手権に出て必ず優勝してオリンピックの代表権を獲るのが一番の目標です。その先にオリンピックがあり、そこで必ず優勝する。そのために日々取り組んでいます」

 自らの意思とともに努力を惜しまず歩んできた。だから持ち合わせた能力を磨くことができた。

 藤波朱理は長年思い描いてきた夢へ向かって、変わることなく進んでいく。(文中敬称略)

■藤波 朱理(ふじなみ・あかり)

 2003年11月11日生まれ。三重県出身。父と兄の影響を受けて4歳からレスリングを始める。中学3年生だった18年に世界カデット選手権で優勝。19年に父が監督を務めるいなべ総合学園高に進学すると、全国高校総体(インターハイ)53キロ級で1年生チャンピオンに輝く。20年には全日本選手権に17歳で出場し初優勝、21年も勝ち続け、世界選手権に初出場で優勝した。昨年4月に日本体育大に進学。17年から始まった公式戦の連勝記録を「116」に伸ばしている。兄・勇飛は17年世界選手権フリースタイル74キロ級銅メダリスト。

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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