高校サッカーの名門“市船”の重みとシゴキ 北嶋秀朗「すべて肯定するわけではなく…」
仲間とすべてを乗り越えるからこそ「高校サッカーは強い」
3年生で挑んだ選手権、決勝戦は桐光学園の中村俊輔との対決がクローズアップされたが、北嶋本人は市船を勝たせるためだけに必死だったという。その年の関東大会では県予選ベスト16で敗退していた。選手権で自らのゴールで優勝するしか、示しがつかなかったのだ。
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「俊輔がどうとかよりも、市船の仲間への思い、団結力が強かったですね」
北嶋は言う。
「その一体感はなかなか味わえないもので。プロになってから、同じものは味わっていないですね。プロは個人事業主で、それぞれやっているところはどうしてもあって。あの時代の高校サッカーのいいところって、みんなでガーって夢中になって、ビッグな目標に向かっていくんです。良いこと嫌なことひっくるめて、すべて乗り越えて、そこで育まれるものがあるからこそ、高校サッカーは強い。自分がやんなきゃ、ってなった時にストライカーは強いですよ」
市船は優勝し、北嶋は得点王に輝いた。責任感を背負い、ゴールを決める。重圧のかかる戦いで、彼自身も才能を爆発させたのだ。(文中敬称略)
(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)