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部活で足りない財源をどう補うべきか 民間企業のスポンサーが珍しくない米国の実例

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「高校運動部とスポンサー(民間企業編)」について。

今回のテーマは「高校運動部とスポンサー(民間企業編)」について(画像はイメージです)【写真:Getty Images】
今回のテーマは「高校運動部とスポンサー(民間企業編)」について(画像はイメージです)【写真:Getty Images】

連載「Sports From USA」―今回は「高校運動部とスポンサー(民間企業編)」

「THE ANSWER」がお届けする、在米スポーツジャーナリスト・谷口輝世子氏の連載「Sports From USA」。米国ならではのスポーツ文化を紹介し、日本のスポーツの未来を考える上で新たな視点を探る。今回は「高校運動部とスポンサー(民間企業編)」について。

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 このレポートでも何度かお伝えしてきたように、アメリカの公立高校運動部の主な財源は学区からの教育予算だ。しかし、公金だけでは足りない部分を補完するために、学校や各運動部が、さまざまな方法でお金を調達している。主に保護者で構成されるブースタークラブからの金銭的支援、個人や民間企業からの寄付、民間企業とのスポンサー契約、特定の財団からの補助金、試合の入場券販売、保護者らによる試合中の飲食物販売、Tシャツやユニホームなどの販売等である。学校外の子どものスポーツは、主に保護者が費用を負担しているが、協会やクラブまたはチーム単位で、先に挙げたような方法で、補助的に意味合いでお金を集めていることがある。

 今回は、このような財源調達のなかから、高校運動部や子どものスポーツが、どのように民間企業と関係して財源を調達しているかを取り上げる。民間企業からの財源調達にもいろいろな方法があるが、筆者自身の嗜好と遊び心によって分類した。

○神社仏閣寄進型

 高校のグラウンドのフェンスに、企業のバナーが括りつけられている。これらは、高校運動部のスポンサーとなっている民間企業の広告だ。よく見かけるのは、近くのレストラン、スーパーマーケット、自動車ディーラー、歯科医、不動産仲介業、スポーツ用品店、または世界的によく知られているスポーツメーカーなどである。練習グラウンド兼試合会場に、こういったバナー広告が掲示されていることによって、生徒や観客に商品やサービスを知らせ、消費欲求を刺激するという効果が期待できる。立派な商業活動である。

 しかし、筆者自身は、このバナー広告に過度な商業主義を感じない。日本の神社には、寄進をした人の名前が刻まれている木札や石柱が並んでいるが、あれと似ているのではないかと思う。これらのバナーはいつも静かに風に吹かれているだけで、それ以上のアピールはしていない。公立高校のグラウンドのバナー広告のスポンサー料は、500ドル(約6万5000円)程度が相場であり、そこを通りかかる人の目に入れば儲けものという雰囲気である。広告主が「もっとより多くの人の目に触れるように試合時間を変更するべきだ」といったりするのは、ほとんど聞いたことがない。保護者のほうが、この広告の100倍くらい面倒なリクエストが多いのでないだろうか。

 ここで紹介した学校単位のスポンサーよりも規模の大きいアメリカの州大会のスポンサーを対象にした調査がある(Wartella , 2009, “Sponsorship of interscholastic athletics: An examination of state high school athletic/activity association sponsors”)。この調査は、高校州大会のスポンサー企業は十代の生徒たちとの関係を構築したいと見返りを意識しているが、一般的なスポーツ大会のスポンサーに比べると、公共や地域への貢献を重要視しているという結論を導きだしている。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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