選手の失敗は「自分の責任」 部活指導の外国人監督、徹底して高校生を擁護した理由
徹底してネガティブな言葉や叱責を排した指導
前監督のペイトンは、徹底してポジティブに毎日のプレーを楽しむ哲学を残していった。
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「とにかく君たちは、プレーを楽しまなければいけない。ミスを怖がるのではなく、リラックスすればするほど良いプレーができる」
ドイツでの現役生活を終えてから「ファーダン・サッカー・スクール」を主宰していた上船も、子供たちを褒めて盛り上げるタイプだったが、それでもペイトンのネガティブな言葉や叱責を一切排した徹底ぶりには驚かされた。
「ジェリー(ペイトン)は、選手たちが失敗した時は、心から自分を責めているんです。プレーの指示にはブレがなく、必ず『ここはこうしてください』と明言し、それで結果が出なければ指示を出した自分の責任だと謝る。だから自分が指導している選手の欠点などを指摘されれば、我がことのように怒るんです」
多くの日本の指導者は、まず選手の課題を指摘しがちだが、ペイトンは「君のここがダメだ」などとは一度も口にしたことがないという。逆に上船は、その点で注意されたこともあった。
「どうしてトシが信じてあげないんだ。信じてあげていなければ、それは選手だって感じ取る。コーチが信じてあげなければ、選手たちは自信を持ってプレーできないぞ」
負けた試合の後には、敢えて良いパフォーマンスをした時の動画を流し「オレたちは、こんなに素晴らしいフットボールをしているじゃないか」と勇気づけた。
改めて上船は、創設3年目で高校サッカー選手権兵庫県予選の決勝まで勝ち上がった快進撃は、ペイトンなくしてはあり得なかったと振り返る。
「ジェリーのような監督だから、選手たちは思い切って挑戦できたし、監督のために頑張ろうと思えた。それにトップシーンのゲームをゴールマウスから見続けた戦術眼は、やはり頭抜けていました」