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W杯でGKの活躍が目立った要因は? アーセナル元コーチが感じた技術と分析の進化

「絶対に止めてみせる」という威圧感や覇気が大切

 カタール大会では、詳細なデータが揃った上に、GKの読みや技術、さらにはフィジカル能力が向上したことでPKストップが頻発した。

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「GKは低いボールにも中間の高さにも反応できるが、もしキッカーがトップコーナーに蹴ることができれば必ず成功する。しかしPKでは、明らかにGKよりキッカーに重圧がかかる。ましてW杯やCLのような舞台で、リラックスして正確にボールを叩くのは非常に難しい。それは究極の心理戦になる」

 このレベルの選手になれば、リラックスした状態なら当然トップコーナーに蹴り分ける技術は備えている。だが狙うべき場所を知り、その技術を備えたハリー・ケインのような名ストライカーでも、準々決勝のフランス戦では2本目のPKで枠を外してしまった。

「だからこそエミのように、絶対に止めてみせるというオーラや、威圧感、覇気が大切になるんだ」

 さてジェリー・ペイトンは現役時代、アイルランド代表としてW杯やEUROの舞台も踏んできた名GKだが、UEFA(欧州サッカー連盟)のプロライセンスを取得しており、必ずしもGKに特化した指導を行ってきたわけではない。

「すべてのポジションについて、トップレベルの学習をした」

 そんなペイトンが偶然、家族旅行に出かけた淡路島で相生学院高校サッカー部を指導する上船利徳総監督と出会い、1年半に渡り現地に住み込みチームの監督を務めてきた。

「フィジカルコーチもいなければ、GPSもなく、当然分析データもない。1期生は20数名だったと聞いているが、Jクラブのアカデミーや100名以上の部員を抱える強豪校には行けなかった選手たちばかりだった。しかし私はアーセナルなどで得たすべての知識を注ぎ込み、総監督のトシ(上船)とそれぞれの提案に互いに修正を加えながら選手たちの成長を促してきた」

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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