相手を挑発しない世界王者の流儀 ボクサー谷口将隆V2戦の裏側「それが僕の考えです」
ボクシングのWBO世界ミニマム級王者・谷口将隆(ワタナベ)が6日、エディオンアリーナ大阪で同級2位メルビン・ジェルサレム(フィリピン)に2回1分4秒TKOで敗れ、2度目の防衛に失敗した。よもやの王座陥落を喫したが、試合前の会見でも相手を挑発しない王者の振る舞いを見せていた。戦績は28歳の谷口が16勝(11KO)4敗、28歳のジェルサレムは20勝(12KO)2敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
谷口将隆が2度目の防衛失敗
ボクシングのWBO世界ミニマム級王者・谷口将隆(ワタナベ)が6日、エディオンアリーナ大阪で同級2位メルビン・ジェルサレム(フィリピン)に2回1分4秒TKOで敗れ、2度目の防衛に失敗した。よもやの王座陥落を喫したが、試合前の会見でも相手を挑発しない王者の振る舞いを見せていた。戦績は28歳の谷口が16勝(11KO)4敗、28歳のジェルサレムは20勝(12KO)2敗。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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勝負の分け目は一瞬だった。距離が縮まった2回。谷口のガードを挑戦者の拳が貫いた。後ろ向きにダウンした王者。すぐに立ち上がった。フラフラでファイティングポーズ。続行は認められず。無情にも敗戦のゴングが鳴った。ボディーに手応えを感じ、距離を詰めたところに合わされた強烈なワンツーだった。
「年始早々、ABEMAで見ていただいてありがとうございます。残念な結果で申し訳ないですけど、応援ありがとうございました」
兵庫出身。地元・関西凱旋で約300人の応援団が駆け付けた。リングを降り、両手を合わせながら花道を歩く。労いの言葉に顔をしかめながら気持ちを表現した。
5日の会見。罵り合う若手ボクサーたちが一触即発ムードになる中、世界王者の第一声は敬意に満ちていた。「まずは年始の忙しい時期に試合開催に携わった方に感謝したいです。相手は前評判が高くて強いのは重々承知しています」。無用な挑発はしない。会見後、その理由を明かした。
「試合は相手ありき。それは当たり前です。その中で(言葉で)盛り上げるのは大事なんですけど、相手を下げるようなことはしたくない。僕はもう、そういうレベルでもないので。注目度はたぶん世界チャンピオンの中で一番低いです。僕が無名なのはわかっています。チャンピオンとして新米のペーペー。でも、上に立つ人間がそういう振る舞いをすべきではない。それが僕の中の考えです」
かつての自分は慢心があった。2019年2月、WBO同級王者だったビック・サルダール(フィリピン)に世界初挑戦。「行けるやろ~」。試合が決まった時点で「獲った」と過信した。結果は0-3の判定で完敗。引き出しが少なく、攻略の糸口が見出せないままずるずると敗れた。