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井上尚弥は「Sバンタム級こそベスト」 元世界王者が見た“階級の壁”を超えて得た強さ

ボクシングの元WBC世界ライトフライ級チャンピオンである木村悠氏が、ボクサー視点から競技の魅力や奥深さを伝える連載「元世界王者のボクシング解体新書」。今回は世界バンタム級4団体統一王者となった井上尚弥(大橋)が、試合後にスーパーバンタム級への転向に意欲を示したことを出発点に、「ボクシングと階級の壁」について自身の経験も踏まえながら、ボクシングを普段あまり見ないライト層にも分かりやすく解説する。そして世界9人目となる4団体統一の偉業を達成した今の井上にとって、スーパーバンタム級こそがベストな階級だと断言している。

世界バンタム級4団体統一王者となった井上尚弥(中央)と父の真吾トレーナー、大橋秀行会長(左から)【写真:荒川祐史】
世界バンタム級4団体統一王者となった井上尚弥(中央)と父の真吾トレーナー、大橋秀行会長(左から)【写真:荒川祐史】

連載「元世界王者のボクシング解体新書」:適正階級を見極める重要性

 ボクシングの元WBC世界ライトフライ級チャンピオンである木村悠氏が、ボクサー視点から競技の魅力や奥深さを伝える連載「元世界王者のボクシング解体新書」。今回は世界バンタム級4団体統一王者となった井上尚弥(大橋)が、試合後にスーパーバンタム級への転向に意欲を示したことを出発点に、「ボクシングと階級の壁」について自身の経験も踏まえながら、ボクシングを普段あまり見ないライト層にも分かりやすく解説する。そして世界9人目となる4団体統一の偉業を達成した今の井上にとって、スーパーバンタム級こそがベストな階級だと断言している。

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 ボクシングの世界バンタム級4団体王座統一戦で、3団体統一王者の井上尚弥が、WBO王者ポール・バトラー(英国)に勝利し、アジア人として初となる4団体統一に成功した。

 井上はこれまでライトフライ級(48.97キロ以下)、スーパーフライ級(52.16キロ以下)、バンタム級(53.52キロ以下)の3階級を制覇してきた。2012年にライトフライ級でプロデビューし、わずか6戦で世界タイトルを獲得。防衛後に王座を返上し、階級を2つ上げスーパーフライ級でも世界王者になった。このタイトルを7度防衛し、18年に3階級目となるバンタム級に進出した。

 バンタム級では各団体の世界王者たち、ジェイミー・マクドネル(英国/WBA)、エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ/IBF)、ノニト・ドネア(フィリピン/WBC)、バトラー(WBO)のすべてにKOで勝利してきた。制覇したのは3階級だが、フライ級(50.80キロ以下)を飛ばしたため、デビューから4階級上げてきたことになる。そして今回のバトラー戦を最後にバンタム級を卒業し、1つ上の階級であるスーパーバンタム級(55.34キロ以下)に進出する意向があることを明言した。

 プロボクシングはミニマム級(47.62キロ以下)からヘビー級(90.72キロ以上)まで、17階級に分かれている。1つの階級の体重差はわずか1.3キロから3キロ程度だが、この差がパンチ力や耐久力などに大きく影響する。戦い方や対戦相手の体格も変わってくる。そのため、無敵と言われた選手が1つ階級を変えただけで、ランカークラスにさえ歯が立たなくなるケースもある。だからこそボクサーは、自身のパフォーマンスが最も発揮される適正階級で戦わなければならない。これは体の成長に応じて変化していくため、その時々で見極める必要がある。

 井上も自身の成長に合わせて階級を上げていき、ライトフライ級からバンタム級まで約4.6キロも増量している。

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木村 悠

1983年生まれ。大学卒業後の2006年にプロデビューし、商社に勤めながら戦う異色の「商社マンボクサー」として注目を集める。2014年に日本ライトフライ級王座を獲得すると、2015年11月には世界初挑戦で第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオンとなった。2016年の現役引退後は、株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動、社員研修、ダイエット事業など多方面で活躍。2019年から『オンラインジム』をオープンすると、2021年7月には初の著書『ザ・ラストダイエット』(集英社)を上梓した。

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