女子ゴルフで生まれた「通算+35」の深層 首の寝違えから“スイングの沼”に陥るまで
スランプ経験者の天沼「まずは体のメンテナンスと心のリフレッシュを」
西郷の通算35オーバーついては、ファンも衝撃を受けた。本人が話す通り、原因は「第1打の恐怖」。それは、4月に首を寝違えて2週連続欠場したことを契機に、スイング改造に取り組んだことに起因しているという。
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欠場明けのパナソニックオープンレディースでは、逆転優勝。一転、翌週からは2週連続予選落ちした。スイングの悩みは始まっていたようで、翌週のブリヂストンレディス開幕前日には「自分では分からなかったスイングの問題をジャンボさんに指摘され、修正してもらいました」と明かしていた。そして、同大会で今季5勝目を飾っている。
その後、海外メジャー大会への挑戦が始まり、エビアン選手権では結果も残した。一方で欧州遠征中のロストバゲージで、パターの練習器具を失う不運もあった。それが「パットの悩み」に繋がっていた。
自身の調子が上がらない中、メルセデス・ランキング(MR)首位の座も山下に明け渡した。そして、ドライバーショットの迷走が始まった。11月のTOTOジャパンクラシックからは、契約外のドライバーを使って復調の感触はつかんでいた。翌週の伊藤園レディスは7位で4試合ぶりのトップ10入り。表情も明るくなっていたが、シーズン残り2試合で、沼に陥ってしまった。
この流れと西郷のコメントを確認し、天沼は「まずは、体のメンテナンスと心のリフレッシュをした方がいい」と指摘した。
「私も腰を痛めて、自分のスイングを見失った時期があります。西郷さんは首の寝違えをきっかけに、スイング改造を考えたようですが、これからリセットするなら、真っ先に体と心の状態を整えた方がいいでしょう。その上でのスイング作り、クラブ選びになると思います」
「スイングの沼」に足を入れ、奥深くに入った選手は少なくない。「理想のストレートボールを打ちたい」「もっと、飛ばしたい」などと思い、完璧な形を求めるがあまり、ジュニア時代から築いた感覚、リズムを失うケースだ。それでも、選手は試合に出続ける。休む勇気を持てないからだが、トップ選手がシード権を失っていく姿には、つくづく「ゴルフの怖さ」を思い知らされる。
幸い西郷は、沼の奥深くに入る前でシーズンオフに入る。現段階ではHitachi 3Tours Championshipに出場予定だが、来季の開幕戦までに調整の時間を得られることは大きい。猶予は約3か月。ファンは、西郷が元の状態で戻って来ることを願っている。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)