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W杯優勝候補が仕掛けた“日本封じ”の罠 欧州遠征2連戦で得た学びと8強突破への宿題

フランス戦後に流が語ったW杯優勝候補との実力差

 この試合でも攻守に際立ったプレーを見せていたリーチも、試合後にはチームの完敗を認めている。

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「ブレークダウンでイングランドが想像以上にプレッシャーをかけてきて、いい流れでプレーできなかった。試合中に修正できずに80分が終わってしまったが、かなりいい勉強になった。世界のトップのトップだとこうなると、あらためて思いました。ジャパンのアタックは、前に出て速いテンポというのがあまりできなかった」

 1対1のフィジカル勝負で重圧をかけられ、ブレークダウンでも相手より人数をかけながら自分たちのスピードを生かした速い攻撃テンポを作れなければ、日本の強みのスタイルは出せない。こんな日本にとっては有り難くない“負のシナリオ”を、エディーに思い知らされたゲームだった。

 では、8日後の20日にトゥールーズで行われたフランス戦での“宿題”はどんなものだったのか。

 スコア上では、イングランド戦に比べれば善戦という評価もできるかもしれない。世界ランキング2位、日本戦までテストマッチ12連勝と、来年の開催国Vへと絶好調をキープする相手との試合であることを考えればなおさらだが、やはり力の差は明白だった。

 個々のフィジカルの強さ、スクラムの破壊力でも、イングランドと同等か上回る力強さを見せ、そこにセオリーに拘ることなく状況を見て、個々の判断で日本のスペースを突く洞察力が大きな武器になっているのが、ファビアン・ガルティエHC率いるフランス代表の強さだ。この試合でも、日本代表はフランスのフィジカルの強さと洞察力で、開始7分に先制トライを奪われている。

 互いにキックを使いながらエリアと主導権を争うなかで、フランスに自陣からのキックカウンターで攻められると、10次攻撃から最後はトライゲッターのWTBダミアン・プノーにトライを決められている。日本の防御は、接点を作るフランスのボールキャリアーに1対1で後方に押し込まれたことで連続して攻撃を許している。最後は、SO(スタンドオフ)ロマン・ヌタマックが日本の防御裏のスペースに転がしたボールを、プノーがワントラップしたことでFB(フルバック)の山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)のカバーがズラされて、そのままプノー自身に抑えられている。まさに、フィジカルと洞察力でクリエートしたトライだった。

 敗戦後の流のコメントが、W杯優勝候補クラスのチームと日本代表の実力の格差をよく物語っている。

「(日本が足りないのは)次に何が起こるかを全員が感じて、相手がキックを蹴ってくるなと思った時は、それに素早く反応できる力とか。日本はリアクションに対しては強いが、予測力やゲームを読む能力は、まだまだ足りない。もっと突き詰めていかないといけない」

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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