少数派の大卒プロテスト受験者 5度目にして合格した26歳高野あかり、2つの「やっと」
国内女子ゴルフツアーが活況を呈する中、今年も8月から日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)プロテストが実施された。今月1~4日には、茨城・大洗GCで最終プロテストが行われ、18位タイまでの計20人が合格者となった。1次予選からの総受験者数は、計649人で3.08%の超難関。そして、突破に至るまでには、それぞれのドラマがある。5度目受験の高野あかりは6位で合格。少数派の大卒受験者、遅咲きの26歳に今の思いを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)
3%の難関を突破した選手の声、遅咲きの26歳が語る今の思い
国内女子ゴルフツアーが活況を呈する中、今年も8月から日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)プロテストが実施された。今月1~4日には、茨城・大洗GCで最終プロテストが行われ、18位タイまでの計20人が合格者となった。1次予選からの総受験者数は、計649人で3.08%の超難関。そして、突破に至るまでには、それぞれのドラマがある。5度目受験の高野あかりは6位で合格。少数派の大卒受験者、遅咲きの26歳に今の思いを聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・柳田 通斉)
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高野はアテストを終え、心の中でつぶやいた。「やっと、終わった~」。5度に渡った挑戦を終えたこと、過酷な4日間を終えた2つの「やっと」だった。
今回の最終プロテストは、初日から荒天による日没サスペンデッドとなった。インスタートの高野は、10ホールを消化してイーブンパー。翌日の第2日は、2番パー5のグリーン上からだった。「10メートル弱のバーディーパットを残していました。下って上るスライスラインで、これが運良く入ってくれました」。その後は1バーディー、1ボギーで、第1ラウンド(R)は71の1アンダーで16位につけた。
そのまま、第2Rに入ったが、1ホールを残して、再び日没サスペンデッドになった。翌日は朝7時20分スタートで、最終9番パー4をボギーにして70。通算3アンダーで7位に浮上も、第3R開始までは約3時間を要した。
「朝4時起きでしたし、長い1日でした。第3Rも70で回り、6位で最終日を迎えることになりましたが、夜から気持ち悪くなって、食事が喉を通らなくなりました。朝もおにぎり1個だけで……」
「私には貯金がある。大丈夫」と自分に聞かせたが、戦略性の高い大洗GCはリズムを崩すと、70台後半、80台が出てしまう。その上、当日の朝は強風だった。
「爆風という感じでした。不安は増しましたが、1番で4メートルのパーパットが入ってくれました。大洗GCのキャディーさんの読みが完璧で、私はその通りに打ち続けました」
6番パー4からは3連続バーディー。その後、2つスコアを落としたが、ラウンド終了時には合格を確信できていた。
「家族にはすぐに連絡をしました。取材対応の中では、いろんなことを思い出して涙が出ました。その後、写真撮影もあったりで、駐車場にいる父を長く待たせました」
高野は父と兄の影響で10歳からクラブを握った。だが、ジュニア大会では上位に入れず、拓大紅陵高に進んでも誇れる結果を残せなかった。「プロになりたいけど、今の力では無理。大学で続けて先が見えなければ就職をする」。法大ゴルフ部に入ると、スコアが70台前半で安定。団体戦関東No.1に貢献し、個人では日本女子アマチュア選手権出場(54位)を果たした。ゴルフを心から楽しめていることも自覚し、プロテスト受験を決意した。
壁は想像以上に厚かった。初受験の2018年は1次予選を不通過で、19年は最終プロテスト55位。20年度テストはコロナ禍で21年春に延期され、最終プロテストで5打届かずの32位だった。21年度テストは、2次予選で1打差の不通過となった。