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箱根路の行方も占う“日本一決定戦” 全日本大学駅伝、駒大&青学大の“2強”追うのは?

2強を追いかけるのは國學院大と中央大

 その後の出雲記録会5000メートルでは円健介(4年)が日本人トップの走りを見せ、先日の平成国際大長距離競技会の1万メートルでは、自己ベストを1分1秒19も更新する28分29秒11を出した。円は非常に勢いがあり、伊勢路では1区にエントリーされている。

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 また、トラックシーズンで好走した篠原倖太朗(2年)も戻ってくると大八木弘明監督は明言している(補欠登録)。前回優勝した時よりも全体的に自信と力強さが増し、隙のないオーダーが可能だ。3連覇がかかるが、分厚い選手層、田澤という大砲がいる駒澤大は優勝に一番近いところにいる。彼らにとっての最大の敵は、油断とコンディションになるが、出雲駅伝前の田澤の件もあり、大八木監督は相当締めて大会に臨んでくるだろう。

 その駒大にストップをかけそうなのが、青山学院大だ。出雲駅伝は「コンディションが間に合わなかった」と原晋監督がこぼしたように、複数の選手が万全ではなく、また、ずば抜けたスピードランナーがいない編成での4位は十分に健闘したと言える。

 青山学院大のアベレージが高く、距離に強い選手の特性が活かされるのは、この全日本からだ。出雲を外れたエース格の岸本大紀(4年)、関東インカレハーフで3位の西久保遼(4年)、全日本大学駅伝で1年、2年時に5区区間賞を獲るなど、駅伝に滅法強い佐藤一世(3年)がメンバーに入った。彼らを含めたチームは出雲の後、全日本に向けて千葉県の富津で合宿をこなしており、選手は順調な仕上がり状態だという。佐藤や目片将大(4年)たちで前半を作り、中盤は横田俊吾(4年)や岸本ら上級生で耐えて、近藤幸太郎(4年)で勝負するオーダーになりそうだが、個々が実力通りの走りを見せれば、打倒・駒澤大の最右翼であることは間違いない。

 この2チームを追いかけるのが、國學院大と中央大だ。

 國學院大は、順調にチームが仕上がってきている。出雲駅伝では主将の中西大翔(4年)が4区区間賞の走りを見せ、6区2位の伊地知賢造(3年)、平林清澄(2年)、山本歩夢(2年)の4本柱が好走し、2位という結果を残した。特に中西は3月の学生ハーフ(2位)から今シーズン、外したレースがなく、安定感と強さが群を抜いている。中西を軸に藤本竜(4年)、島崎慎愛(4年)ら走れる4年生が揃っているので、チームとしては非常に心強い。

 下級生の層が薄いと言われてきたが、2年生は平林ら6人がエントリーされ、1年生は前田康弘監督が「これからが楽しみだ」と語る青木瑠郁、上原琉翔らが入っている。とりわけ青木は出雲1区7位とまずまずの結果を出し、全日本での出走も期待される。アンカーは伊地知か平林になるだろうが、中西の使いどころが勝負になりそうだ。前半、中盤区間で粘って後半へ3位以内で繋げれば、優勝はもちろん、箱根駅伝でも上位争いが実現できるに違いない。

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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