[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

“二世アスリート”が背負う宿命 偉大な父親への敬意と「比較はナンセンス」の本音

C.ロナウドが抱いた父親への想い

「自分がサッカー選手になって、家族を一つにして幸せに暮らす」

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ロナウドはそう誓って、どんどん選手としてステージを駆け上がっていった。10歳の頃には、自分が最初に所属したクラブの用具係の仕事を、父に用意している。酔っ払って自分の試合にやってくる父を煙たがった一方、本当の姿を取り戻してほしかったのだという。

「父さんがサッカーを教えてくれた。だから、俺はサッカーが好きなんだ」

 ロナウドは親しい友人にはそう言って、父を誇っていたという。

 しかし、父が51歳にしてアルコール依存症で亡くなった後、ロナウドは決然とマデイラ島を出た。本土の名門スポルティング・リスボンに入団し、そこからの物語は周知のところだ。

 一方で、DNAが選手を育成することもある。

 父親が元プロサッカー選手というケースは少なからずある。セルヒオ・ブスケッツ、マルコス・アロンソ、マルコス・ジョレンテ、ニコ・ゴンサレスなどは、それぞれ父が有名選手だった。

 ブスケッツの父カルレスは、ヨハン・クライフ監督時代のリベロゴールキーパーである。M・アロンソの父は同名でアトレティコ・マドリード、バルサで活躍、スペイン代表にも選ばれている。M・ジョレンテの父はレアル・マドリードに在籍しているが、親戚全体が「サッカーファミリー」で大叔父はパコ・ヘントというマドリード史に残る名選手。ニコの父は、デポルティボ・ラ・コルーニャ一筋で90年代最高のレフティーと言われるフランだ。

 遺伝もそうだが、家庭環境は影響するのだろう。一番近くにサッカーに親しむ環境があるのは大きい。父親がサッカー選手だと、遊びの中で質の高い動きを真似ることで上達も速い。

 しかし彼らにしても、父親がプロ選手の保証になるわけではないだろう。

「父のことはもちろん尊敬しているが、自分は自分」

 かつて世界最高のMFの1人だったシャビ・アロンソに、父ぺリコ・アロンソ(レアル・ソシエダやバルサで活躍したスペイン代表MF)との関係について聞いた時、彼はそう答えていた。

1 2 3

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集