渋野日向子が他選手のミスを期待しない理由 1年経っても変わらぬ「一緒に頑張ろう」の心
1年前に渋野に聞いた“ライバルのミスを期待しない理由”
なぜ、そこまでできるのか。渋野は「『プロの世界も楽しい』と思ってほしかったから」と言い、手塚、小俣のリアクションを伝えると、照れ笑いした。
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「滅茶苦茶うれしいんですけど、ちょっと、こっぱずかしいです(笑)。でも、『回りやすかった』と言ってくれるのが、一番うれしい言葉かなと思います」
その上で、年下選手の台頭について聞くと、ストレートに思いを語った。
「後輩が頑張ってくれるのは、うれしいです。これからも年下選手が増えますし、アメリカにもいろんな選手が挑戦できる時代になりました。同級生の勝みなみ、(2学年下の)西村優菜ちゃんもそう(米ツアー最終予選会にエントリー)。なので、『私も頑張らなければ』と思います」
渋野のマインドは、常に「一緒に頑張ろう、盛り上げよう」。前年大会の最終日後半は、優勝を懸けてペ・ソンウとすさまじいデッドヒートとなったが、渋野はソンウがバーディーを決めると「ナイス」と微笑み、パットを逆に外せば、膝を曲げて残念がった。どんな状況でも、ミスを期待しない姿があった。その理由を聞くと、「スポーツマンシップを大事にしていますし、相手のいいプレーには、『自分も頑張らなきゃ』と思わされますから」と返したのを覚えている。
渋野は1年経っても、渋野のままだった。連日、大勢のギャラリーが付いたが、バーディーを獲った後などは極力、「ナイス」の声が出た方に顔を向け、笑みを返した。宮里藍の父でコーチの優さんは「ゴルファーの前に人格者であれ」を信念に3人の子供を育ててきたが、渋野を見ていると、同様に育てられたことが想像できる。
11月3日開幕のTOTOジャパンクラシック(滋賀・瀬田GC北C)は米ツアーとの共催大会。渋野は再び同組選手と“激熱”に、そして、気持ちいい態度でプレーするに違いない。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)