[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

世界卓球で59歳のエースが魅惑の快進撃 2児の鉄人母ちゃんに日本人記者も心奪われた

世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)は中国・成都で連日熱戦が繰り広げられている。女子では、ルクセンブルクを率いる59歳・倪夏蓮(ニー・シャーリエン)が奮闘。グループリーグ初戦で世界ランク4位のメダル候補・韓国に対し、番狂わせを演出した。世界ランクはグループ4番手の24位ながら、個人6戦5勝で決勝トーナメント進出を確定させる快進撃。鉄人の老獪な技とチャーミングな人柄、今もなお貫き続けるプロ魂に記者も魅せられた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

初戦で世界16位チョン・ジヒを破り、飛び跳ねて喜ぶ倪夏蓮【写真:Getty Images】
初戦で世界16位チョン・ジヒを破り、飛び跳ねて喜ぶ倪夏蓮【写真:Getty Images】

世界卓球団体戦

 世界卓球団体戦(テレビ東京系&BSテレ東で連日放送)は中国・成都で連日熱戦が繰り広げられている。女子では、ルクセンブルクを率いる59歳・倪夏蓮(ニー・シャーリエン)が奮闘。グループリーグ初戦で世界ランク4位のメダル候補・韓国に対し、番狂わせを演出した。世界ランクはグループ4番手の24位ながら、個人6戦5勝で決勝トーナメント進出を確定させる快進撃。鉄人の老獪な技とチャーミングな人柄、今もなお貫き続けるプロ魂に記者も魅せられた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 開幕前日のことだった。卓球の世界大会取材は初めて。記者席から各国の練習を眺めていると、年を重ねた一人の女性が小走りで控室に戻っていった。コーチが忘れ物でも取りに行ったのか。特に気に留めていなかった。

 翌日の本番、同じ人物がラケットを手にコートに立っている。なんと現役バリバリの選手だった。大変、大変、失礼な間違いだったと気づかされた。

 ルクセンブルクのエースとして韓国に挑み、世界ランク16位の29歳、同64位の26歳に2連勝。3-1でチームに金星をもたらし、娘ほど年の離れた20代の仲間と飛び跳ねて喜んでいた。国際卓球連盟(ITTF)も驚きをもって伝えると、シンガポールとの第2戦では、17歳との42歳差対決が実現。お世辞にも柔らかいとは言えない動き。しかし、老獪なテクニックに目を奪われた。

 台の中央からあまり動かない。最小限のフットワークで球に手を伸ばし、17歳を右に、左に振り回す。緩急をつけ、ヒョイっと突然リズムを変えるバックハンドで得点。かと思えば、高くはねた球に強烈なスマッシュを叩き込んだ。あれよあれよと2ゲームを先取していった。

 卓球はパワー、スピードだけじゃないことを教えられる。粒高ラバーで巧みに回転をかける熟練の技。夢中になったスタンドの中国記者たちは、隣のコートで戦う母国そっちのけで全身全霊の59歳に拍手を送っていた。

「もちろん、まだ上手くなりたいわ。年齢に関係なく、自分自身を成長させ、チームに結果をもたらすのは競技者としての責任だと思うから。チームを牽引して全てのポイントで勝ちに行きたい。最も重要なのは全力を尽くすことなのよ」

 59歳は全力プレーを信条に置く。17歳とフルゲームにもつれた大接戦。6-6に追いつかれると、天井を見上げ、勝負を楽しむかのように笑っていた。8-10でマッチポイントを握られたが、執念で10-10の同点に。最後は12-13から強烈なバックハンドに沈み、チームを連勝に導けず。試合後は悔しさを隠さなかった。

「とても残念ね。私の試合で勝つことが、どれくらい重要かわかっているから。たった1ポイント。でも、それを受け入れなければいけないわ」

 失点すれば、1球ごとにジェスチャーを取ってイメージを修正。ミスの後は地団太を踏んでイライラを露わにする。いくつになっても「悔しい」と思えることが素晴らしい。なぜ、今もその感情が湧き続けるのか。取材エリアで質問をぶつけた。

1 2 3
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集