コロナ禍に阻まれた17歳の快進撃 長崎美柚を強くした「シングルスで勝つ」という執念【世界卓球】
「実力で勝たないと自分たちの出場機会はない」、代表入りへ伊藤美誠と激突
上位2人が代表入りできた中、5位に終わった。世界卓球個人戦はシングルスとダブルスで行われるが、選考会はシングルスのみで争われる。「2人で一緒に行こうね」と約束していた木原も出場できず、一人で勝ち抜く難しさを思い知らされた。
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「やっぱり先輩方は凄く強いので、卓球の実力で勝たないと自分たちの出場機会はないんだなっていうのを実感しました。ワールドツアーではダブルスだけエントリーさせてもらっていたけど、その時はジュニア枠(若手枠)。でも、世界選手権はシングルスで勝たないと、ダブルスも組む機会を与えてもらえない。あそこでシングルスで勝ちたいという思いが強くなりました」
言わずもがな実力主義の世界。悔し涙と勝利への執念を糧に、長崎は強くなった。
今年3月の代表選考会。4強入りで世界卓球の出場が決まる中、準々決勝で伊藤と激突した。相手が本調子ではなかったとはいえ、東京五輪の金銀銅メダリストと接戦。サウスポーから繰り出される強打を武器にゲームカウント4-2で制した。嬉し涙を流し、同じく代表入りした木原とハグ。成長を示し、約束を果たした。
団体戦は18年に続く2大会連続だが、当時は出番なし。今回は勝負所で起用される可能性も十分にある。3大会連続銀メダルから51年ぶりの優勝へ。伊藤、早田、木原、佐藤瞳と臨む今大会。個性豊かなメンバーを「カラフルな虹みたい」と表現した。
「みんな普段から明るくて、凄く強気なイメージ。全員が凄い強みや特徴を持っている。絶対誰にも真似できない特徴、技術、気持ちだったり、少し似てるようで少し違う。赤、オレンジ、黄色、緑、青みたいな。合わさったら凄く綺麗に並ぶ。けど、一人ひとりの良さを引き立たせる。全員がピタッと一つになったら本当に誰も止められない。そうすれば一番になれると思います」
一度は止まった快進撃。今度は5人で歯車を合わせ、新しい時代を動かしていく。
(第3回は戸上隼輔が登場)
◆世界卓球 9月30日からグループリーグが行われ、上位16の国と地域が10月5日からの決勝トーナメントに進出。テレビ東京系&BSテレ東で連日放送。中継キャッチフレーズは「新時代の、目撃者になる。」
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)