6度目プロテストから10か月後の初V争い 「絶望的」経験をはねのけた成澤祐美の感慨
後輩・渋野日向子が快挙達成の年に絶望「何度受けても」
成澤は、母親の勧めで10歳からゴルフを始めた。中3の2011年には北海道ジュニア選手権で優勝。「年間を通してゴルフをしたい」という思いで故郷を離れ、岡山・作陽高に進学した。3年の全国高校選手権では、1学年下の渋野らと団体の部を制覇。個人の部でも、渋野、畑岡奈紗、稲見萌寧らを上回る2位に入った。それでも、卒業後は「茨の道」が待っていた。プロテストに5度連続不合格。渋野は2度目の受験だった18年テストに合格し、19年には全英女子オープンを制した。成澤は後輩の快挙を喜びつつ、同年テストでは2次予選を突破できなかった。
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「この時点で4度目でしたし、『これは何度受けてもダメなやつかも』と絶望的な思いになり、ツアープロを諦めそうになりました。ただ、同じ状況の同級生も頑張っているし、DSPEのメンバーやスタッフの方々に励まされ、何とか立ち直れました」
DSPEとは、20年春に設立されたツアープロの目指す女子ゴルファーを支援する団体で、月例会や試合を主催している。そこでも切磋琢磨した成澤は昨年11月、城陽CCで開催された21年最終プロテストにカットライン上の20位タイで合格。直後、渋野から祝福のLINEメッセージが届いた。ようやく渋野の背中を追う態勢に入ったが、同年のツアー予選会(QT)は1次で失敗した。
今季ツアー前半戦出場は、出場選考会を突破したアース・モンダミンカップ(26位)と北海道開催で主催者推薦を得たニッポンハムレディス(19位)のみだったが、リランキング56位に浮上し、後半戦は欠場者待ちで出場できるようになった。ゴルフ5レディス出場も開幕2日前に決定し、第2日を終えて3位。プロテスト合格から約10か月、最終日最終組を経験するに至った。
「1年前では考えられない状況ですし、あの時、あきらめなくて良かったと思います。ツアーに出るようになり、テストに落ち続けた理由は、コースマネジメント力の不足だったと実感しています。そして、今は自分の成長を感じますし、後半、崩れてしまった今回の経験も必ず次に生かします。また、大きな声援を受けられるように」
DSPEの篠沢雅英マネジャーによると、今年のプロテストも、成澤の高校同級生でもある逢沢菜央、安藤京佳らも含め33人が受験している。「彼女たちにとって、成澤さんは希望の人です」。その状況も自覚し、成澤はプロテスト合格を果たした城陽CCで新たな戦いに臨む。
■成澤祐美(なりさわ・ゆみ)
1997年11月21日、札幌市生まれ。冬はスキー場、夏はゴルフ場を運営している会社に勤めていた母親から、10歳の時に「ゴルフでもやってみる?」のひと言でクラブを握った。「年間を通してゴルフをしたい」との思いから、岡山・作陽高に進学し、現在も岡山県内に住んでいる。チャームポイントは「なで肩」。趣味は2歳から始めたスキー。160センチ、56キロ。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)