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健康管理に“絶対的な答え”なし メッシの例に見るアスリートの食生活との向き合い方

スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回はバルセロナ時代のリオネル・メッシを引き合いに出しながら、アスリートのコンディション管理について持論を展開している。

若き日のリオネル・メッシ、食生活を変えてパフォーマンスを向上させた【写真:Getty Images】
若き日のリオネル・メッシ、食生活を変えてパフォーマンスを向上させた【写真:Getty Images】

連載「世界で“差を生む”サッカー育成論」:選手にとって大切な心身の健康管理

 スペインサッカーに精通し、数々のトップアスリートの生き様を描いてきたスポーツライターの小宮良之氏が、「育成論」をテーマにしたコラムを「THE ANSWER」に寄稿。世界で“差を生む”サッカー選手は、どんな指導環境や文化的背景から生まれてくるのか。今回はバルセロナ時代のリオネル・メッシを引き合いに出しながら、アスリートのコンディション管理について持論を展開している。

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 プロサッカー選手という仕事は体が資本である。厳しいトレーニングを高い競争の中で積むことによって、技術は向上するわけだが、そのベースとなる健康管理ができていないと、成長は望めないし、怪我をしやすい体になったりする。肉体を健全に維持するには、規則正しい生活が基盤になるだろう。

「プロスポーツ選手は遊びも芸のうち」

 それは20年以上前の時代の話だ。

 長く現役を続け、ハイパフォーマンスを見せる選手は、食生活や睡眠に気をつけているし、行き過ぎた夜遊びなどもってのほかだろう。オフに入ったら、息抜きをする選手もいるが、シーズン中に不規則な生活をしているようだと、遅かれ早かれ、その報いを受ける。

 一方、ヘビースモーカーのサッカー選手で成功を収めたケースも少なくない。1980~90年代、オランダ代表、ACミランで活躍したフランク・ライカールトなどはその1人だろう。こうした事例は、実はJリーガーにもいくつか見られてきた。ストレスを軽減させ、プレーの集中力を高めるほうが、肉体的な能力低下に勝った結果だ。

 しかし時代は変わった。現代サッカーはフィジカル面の持久力と俊敏性が同時に求められ、コンディションに左右されるところが増えた。それはしばしば実力をも逆転させる。

 例えば、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の初戦、オマーン戦の日本代表選手たちは多くが欧州組で、長旅の疲れと時差を引きずり、満足に練習もできずに挑んだことにより、ホームにもかかわらず0-1と敗れている。格下と見られたオマーンは長い合宿を張って日本へ早めに入り、しっかりとコンディション調整してきたことで、動きの鋭さは際立っていた。

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小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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