若手女子ゴルファーも陥る突然のスランプ 克服者が勧める「コーチとの付き合い方」
昨今はデビュー5年以内でもスランプに、北田もイップスを経験
スイングに特徴のある選手では、佐藤心結に魅力を感じているという。佐藤は昨年10月、高3で出場したスタンレーレディスでプレーオフに進出。優勝は渋野に奪われたが、270ヤード超のドライバーショットと高弾道で止まるアイアンショットで強烈なインパクトを残した。
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同11月のプロテストで一発合格を果たし、最終QTは11位。開幕戦のダイキンオーキッドレディスで13位に入ったものの、第6戦富士フイルム・スタジオアリス女子オープンから7試合連続予選落ちを経験した。その後は立ち直り、6月のニチレイレディスは優勝争いを演じて5位に入った。
「彼女は飛距離がすごく出ますし、見ていて楽しいゴルフをします。足を存分に使ったスイングは躍動感があります。ただ、そのタイミングがずれるとボールは曲がるし、アプローチなどにも粗さある印象です。それでも、しっかりと立ち直って、ニチレイレディスで最終日最終組を経験したことは大きいです。今後、スイングのタイミングを固め、小技も磨いていけば、かなり強くなると思います」
他にも双子の岩井明愛、千怜姉妹、佐久間朱莉、桑木志帆、後藤未有、内田ことこ、櫻井心那ら上位に顔を出す若手がおり、試合ごとにゴルフファンをワクワクさせている。しかし、昨今のツアーでは、デビュー5年以内でもスランプに陥ってシード権を喪失。QTも失敗するケースが少なくない。北田自身も3年目の2005年シーズンにパターイップスに苦しみ、賞金ランクは前年3位から60位に急落。シード権を失った。イップスになったきっかけは、指の故障だった。
「実は右手親指のじん帯がはがれてしまい、2004年シーズンを終えたオフに手術を受けました。そして、十分なリハビリができないまま翌年2月、第1回女子W杯に出場しました。その結果、パットにいろいろと狂いが出ました。コンビを組んだ宮里藍ちゃんはすごいプレーをするのに、私はスコアを伸ばせない。最終日も苦しみましたが、17番パー3ではミドルパットが入って2人一緒にバーディー。幸い優勝はできましたが、あれが入っていなければ、今でも『あの時にゴルフをやめていたのかも』と思うほどの重圧を感じていました」
当時23歳。若くして快挙を達成したが、パットの状態はさらに悪くなったという。
「ゴルフは経験値が邪魔になることもあります。いい結果よりも、悪い結果の方が記憶に残るからです。それが重なってイップスになり、短いパットでも怖くなって、手が震えてしまうのです。抜け出すために、私もいろんなことをやりました。ボール、カップなど、目から入ってくる情報で体が固まるため、試合中にグリップだけを見て打ったり、『これなら手が動く』と思い、目を閉じたまま打ったこともありました」
だが、北田は「私の傷はまだ浅い方。もっと苦しんでいるプロはいました」と言う。現実に北田は曲がらないショットに加え、アプローチを磨いて、翌06年シーズンは賞金ランク27位に再浮上。シード権を取り戻し、07年には復活優勝も飾った。
「パットについては今も嫌な感覚はあります。でも、(技術面で)全く悩みのなかったプロはいないと思いますし、いい時に完全に戻ることはとても難しいです。今、苦しんでいる選手もそれを受け入れ、『今日はいいパットがあった』『パットはそうでもなかったけど、ショット、アプローチは良かった』とプラス思考を働かせてほしいです。そうして、一つひとつ自信を重ねていけば、再び戦える状態に近づくでしょう」