北口榛花を支えたチェコ人コーチの献身 日本の文化も受け入れた指導「簡単じゃない」【世界陸上】
1投目から60m超え「コーチの方が力んでいたと思います(笑)」
技術、フィジカル面はもちろん、考え方や精神面もアドバイス。練習中の叱咤激励は厳しく、熱い。その声が、苦しい時にもうひと踏ん張りさせてくれた。「東京五輪以降は私の話も聞いてくれるようになった」。ともに築き上げた信頼関係。事あるごとに肩を組み、笑顔で写真を撮った。
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今大会は、北口の食も支えていた。セケラック氏は宿泊先の近くで日本食の飲食店をリサーチ。かつ丼、親子丼、いなり寿司……。舌鼓を打った北口は「コーチが日本食屋さんをめっちゃ推してくれた。気を使ってくれたのか、コーチ自身が食べたいのかよくわからないけど(笑)。何回も行っていたら常連になっちゃいました」と明かす。
店主はフレンドリーに接し、今大会での活躍を応援してくれた。コーチは「ヨーロッパでこんなことは絶対にない」と驚いていたという。
迎えた大一番。1投目から62メートル07をマークする暫定2位の滑り出しだった。「コーチの方が緊張していたし、コーチの方が投げる時に力んでいたと思います」と笑う。来年8月はブダペスト大会。狙うのは金メダルだけじゃない。「コーチの計算ではチェコから近い。600キロあるけど、車で行くらしいです(笑)。コーチの家族にも恩返しできるチャンス」。さらなる成長を遂げ、感謝のビッグスローを届けにいく。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)