たった一人の女子マラソン代表 涙の松田瑞生が背負った直前欠場2人の悔しさ、責任、重圧【世界陸上】
オレゴン世界陸上の女子マラソンが18日、米オレゴン州ユージンで行われ、27歳の松田瑞生(ダイハツ)が日本人大会最速2時間23分49秒の9位で入賞に届かなかった。一山麻緒(資生堂)、新谷仁美(積水化学)が新型コロナウイルス陽性で欠場。日本勢唯一の出場となり、混乱の状況下でド根性を見せた。「日の丸の責任」を背負ったレースだった。優勝は2時間18分11秒のゴティトム・ゲブレスラセ(エチオピア)。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
オレゴン世界陸上
オレゴン世界陸上の女子マラソンが18日、米オレゴン州ユージンで行われ、27歳の松田瑞生(ダイハツ)が日本人大会最速2時間23分49秒の9位で入賞に届かなかった。一山麻緒(資生堂)、新谷仁美(積水化学)が新型コロナウイルス陽性で欠場。日本勢唯一の出場となり、混乱の状況下でド根性を見せた。「日の丸の責任」を背負ったレースだった。優勝は2時間18分11秒のゴティトム・ゲブレスラセ(エチオピア)。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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日の丸の重みをたった一人で受け止めた。朝日に照らされたオレゴンの街。16日に一山の、17日に新谷の欠場が決まった。「覚悟を持ってスタートに立った」。午前6時15分、松田の戦いが始まった。
スタート直後からハイペースの海外勢。いきなり離され、上下するペースに対応できなかった。折り返しは入賞ラインの8位から21秒差の13番手。第2集団からも遅れ、ズルズルと後退した。その後、自身より上位のアフリカ勢が途中棄権。根性の見せどころが訪れた。
34キロで8位に15秒差、35キロで8秒差。沿道から9位だと知らされた。「一つでも前に、一秒でも前に」。背中を捉えた。38キロで4秒、39キロで3秒、40キロでついに2秒。「ずっと全力だった」。日本人2大会連続の入賞へ、文字通り手の届く位置まで迫った。
ライバルたちもラストスパート。背中が遠のき、最後は15秒差。終始一人きりだった42.195キロを終えた瞬間、涙が止まらなくなった。大阪出身で“なにわのド根性”が売りの勝気な性格。自分に厳しく、想いが強いだけにレース直後から謝罪の言葉を繰り返した。
「恩返しとして感謝の気持ちで走り切りたかったけど、期待に応える走りができず申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただただ、力がないと思う走りでした。前半も、中盤も、後半もこれが今の自分の精一杯。ただただ、力がない。レースに出させていただいて感謝しています」
汗なのか、涙なのかもわからない。フィニッシュエリアで出迎えた山中美和子コーチにも謝罪した。「あと一人まで行ったじゃない。よく耐えてくれたよ。走り切っただけでもいい。ありがとう」。コーチも泣いていた。