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「残り2秒の悪夢」を忘れない ファンクラブ会員Bリーグ最多、三河と“青援”と365日

【写真提供:シーホース三河】
【写真提供:シーホース三河】

「声援」は「青援」、ファンクラブ会員数リーグ最多の後押しが力に

 三河では“声援”をチームカラーになぞらえて“青援”を呼ぶ。

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 前述の試合は、平日のナイターにも関わらず、2階の立ち見席まで前売りで完売。ウィングアリーナの今季最多入場者数となる3062人の大“青援”が選手の背中を押し続けた。

 平均入場者数は昨年の2501人から2866人と14.6%も増加。加えて招待客が多かった昨年とは異なり、今年は有料入場者がほとんどで、ブースタークラブ(ファンクラブ)会員数も8000人を超え、Bリーグ最多を誇っている。

 比江島も「特に今シーズンは日本代表もありタフだったので、ファンの皆さんの“青援”がなければ長いシーズンを戦うことはできなかった」と“青援”という頼もしい“戦力”が支えになったと感謝した。

 観客が増えた背景にはチームの“努力”があった。「プロのチームとして成長するためには、多くの人たちに観てもらって、色々なことを言っていただいた方がよい。どの体育館でやってもいっぱいになるよう努力したい」と鈴木HCは選手に勝つことと魅せることの両立を求めてきた。

「去年はBリーグ元年ということで、全チームが色々な意味で思考錯誤しながらバスケットをしていた。我々のような歴史のあるチームは、ただ勝てばいいということではなく、お客さんに楽しんでもらわないといけない。外からの3Pシュート、速いファストブレイク、豪快なダンクシュートの3つは、バスケットをやったことがない人が一番喜ぶプレー。負けてもいいからということではなく、勝ちを意識しながら、そういうプレーを多くしていこうと、プレシーズンから練習してきました」

【写真提供:シーホース三河】
【写真提供:シーホース三河】

 比江島を筆頭に、日本屈指のシューター・金丸、ベストディフェンダー賞を獲得した橋本竜馬など個性的なプレイヤーが揃う三河は、華のあるプレーで観る人をワクワクさせる。

 試合を重ねるごとに“青援”は大きくなり、それに応えようと選手はさらに勝利へ執着心を高めた。こうした良い循環はチームをタフなプロ集団へと育てていった。シーズン序盤に記録した16連勝を自ら塗り替えた17連勝の始まりが、クラブ史上最多となる5327人の大“青援”の中で勝利した栃木戦だったことは決して偶然ではないだろう。

 試合だけではなく、コート外での魅力アップにフロントスタッフも全力で取り組んだ。三河のホームゲームは毎節違ったテーマで観客をもてなしている。例えば「海」に関連するチーム同士の対戦となった横浜ビー・コルセアーズ戦は「大海戦」をテーマに開催。ロビーには「シーホース水族館」が設けられ、貝やヒトデ、カブトガニなどが子どもたちを笑顔にしていた。

【写真提供:シーホース三河】
【写真提供:シーホース三河】

 新潟アルビレックスBB戦は、新潟=お米…米…こめ…COME…COME ON!! ということで「COME ON」がテーマ。「選手の好きなおにぎり付チケット」を販売した他、「新潟県魚沼産コシヒカリ詰め放題」や、5キロのお米袋を親子で息をあわせて運ぶ「COME ON!親子~お米運びタイムトライアル」といったお米にまつわるイベントで観客を楽しませた。

【写真提供:シーホース三河】
【写真提供:シーホース三河】

「Hello Win!」「シーホースのブルークリスマス」「春のシーホースまつり」など時節のイベントを開催したり、日本航空とのコラボレーション企画では機内サービスが受けられるスペシャルシートの販売やキャビンアテンダントの制服ファッションショーを行なうなど観客を飽きさせない。

【写真提供:シーホース三河】
【写真提供:シーホース三河】

 愛知という地域柄を生かしたシーホース三河名物「餅まき・菓子まき大会」も対戦相手のファン・ブースターに好評だ。また冬場にはみかん付の掘りごたつ席も登場し、アイデアあふれる演出と細やかなおもてなしで観客を満足させている。

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山田 智子

愛知県名古屋市生まれ。公益財団法人日本サッカー協会に勤務し、2011 FIFA女子ワールドカップにも帯同。その後、フリーランスのスポーツライターに転身し、東海地方を中心に、サッカー、バスケットボール、フィギュアスケートなどを題材にしたインタビュー記事の執筆を行う。

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