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1.5軍の世界2位フランスに敗戦 “手の内隠した”ラグビー日本代表、W杯への収穫とは

21歳の司令塔・李承信が見せた可能性と課題

 結論は今週末の第2戦、そして来年のW杯で分かることだが、第1戦の結果を考えると、ほぼボールを回してくる選択肢だけのアタックでは、フランス相手に十分なプレッシャーをかけられなかったのは、日本がPG3本、トライはインジュアリータイムでかろうじて2つ目を奪ったというスコアが示している。フランスクラスの相手なら、キックで防御ライン後方へのケアもさせながら、アタックを仕掛ける必要はあるだろう。この観点から考えれば、第2戦ではキックとパス、ランを織り交ぜた攻撃で、どこまで得点力を上げることができるかに注目したい。

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 戦術面では、このように謎かけのような印象を感じさせた日本代表だが、戦力面ではウルグアイ戦に続いて可能性を感じさせるゲームだった。ウルグアイ戦でも活躍したCTB(センター)のディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、NO8(ナンバーエイト)のテビタ・タタフ(東京サントリーサンゴリアス)が、ワンステージ上のフランス相手にも十分戦えるフィジカルを証明。またFL(フランカー)のリーチマイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、LO(ロック)のヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)らも、コアメンバーとしての存在感を見せたなかで、SO李が司令塔争いに参加できるポテンシャルを印象付けた。

 6月25日のウルグアイ戦で先発した山沢拓也(埼玉WK)が再び10番を背負う予定だったが、新型コロナウイルスの抗原検査で陽性となったために、李に大役が託されたのは試合前日の朝のことだった。テストマッチは前週のウルグアイ戦で18分プレーしただけだったが、21歳の司令塔はラインスピードを落とさないパスワークを披露。常に自らも走りながらパスを受け、フランス防御に仕掛けながらのパスでラインのアグレッシブさを引き出した。

 プレースキックでは、主導権争いが続く前半6分に右中間39メートル、25分にも中央左47メートルという距離のあるPGを確実に決めて、ウルグアイ戦での山沢同様にインターナショナルクラスの「敵陣に入ればPG得点圏」という“足”を証明した。

 もちろん、今後への厳しい課題も露呈している。前後半で、加点するチャンスの起点となるような敵陣深くへのタッチキックをミスするなど、集中力を欠いた瞬間も覗かせた。後半18分のフランスのトライは、相手BKが身長176センチと小柄な李へ、意図的に突っ込み、仰向けに倒されたことが致命傷になった。SOが簡単に防御突破を許すと、そのままトライまで持っていかれるリスクがある。これからも、李がSOの位置に立てば、対戦相手は間違いなく狙ってくる。ここを、どう克服していくかという宿題が突き付けられた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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