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日韓W杯が大分に与えた影響 西川周作ら日本代表を輩出、育成環境を変えた無形の財産

大分東明高校でサッカー部を指導する西村誠氏【写真:宇都宮徹壱】
大分東明高校でサッカー部を指導する西村誠氏【写真:宇都宮徹壱】

W杯のレガシーはスタジアムやインフラだけではない

 一方、30年以上にわたって高校生を指導してきた西村は、「2002年の以前と以後とでは、県内のサッカー環境は激変しました」と語り、こう続ける。

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「今の高校生は、生まれた時からドームとトリニータがあって、地元出身のJリーガーや日本代表がいるわけです。人口が6万人もいない宇佐市からも、西川や岩田のような選手が出てきた。中学生の進路の第一志望はトリニータのU-18ですし、週末のドームに行けば思い思いにスポーツを楽しんでいる人たちがいる。我々が今、目にしている当たり前の風景の多くが、実はワールドカップのレガシーだったんですよね」

 W杯や五輪のレガシーといえば、私たちはどうしてもスタジアムなどのインフラに目を向けがちである。一方で目には見えにくいけれど、私たちの人生を豊かなものにしてくれるレガシーもまた、間違いなく存在する。育成年代への影響しかり、キャンプをきっかけとした国際交流しかり、スポーツを当たり前に楽しむ環境もまたしかり。

 こうしたレガシーが可視化されるには、10年や20年というスパンが必要だ。2002年W杯を20年後に振り返る意義は、まさにそこにあるのだと思う。

(宇都宮 徹壱 / Tetsuichi Utsunomiya)

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宇都宮 徹壱

1966年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」を追う取材活動を展開する。W杯取材は98年フランス大会から継続中。2009年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞した『フットボールの犬 欧羅巴1999-2009』(東邦出版)のほか、『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』(カンゼン)、『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)など著書多数。17年から『宇都宮徹壱WM(ウェブマガジン)』を配信している。

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