「国体毎年開催」を叶えた日本ボクシング連盟 任期満了する内田新体制、4年間の闘い
国体の隔年開催、競技人口減少以外に「非常に問題」と指摘する理由
山根体制では普及活動はほとんど行われていなかった。昨年11月には全日本マスボクシング(寸止めボクシング)大会を初開催。ジュニア充実、競技会活性化、運営能力の向上を踏まえた新たな試みだ。男女で年代別にカテゴリーが分けられ、小学1年生から上限の年齢制限はなし。最も上のシルバーエイジ(71歳以上)男子の部では74歳が優勝した。持続可能な大会運営であり、毎年開催していく方針だ。
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女性スポーツ推進では、合宿で専門家のリモート講義を実施。女子選手へ月経コントロールなど最新のコンディショニング知識を提供した。選手からのフィードバックを受け、医科学的なサポート体制も充実させて来ている。仲間氏は「当然、これは競技団体として取り組まなければならないこと。選手のニーズを汲んだ形のサポートができるようになった」と説明。医科学サポートでは、アンチ・ドーピングの普及活動などに注力。各大会にブースを設置し、セミナーを開催した。
審判員、コーチの育成にも尽力。ここまでの道のりは長かった。しかし、現状を自己分析すれば「本来あるべき姿になった」という言葉が適切だという。
仲間専務理事「国体実施競技評価において、本来ならボクシングの点数は極端に低くなるはずがないんです。女子競技の歴史が短い部分はありますが、競技の歴史が古く、アジア大会、オリンピックでも正式競技であり、基本的には基礎点数が高い競技です。NFが選手のためにやるべきことをやり、適切な組織運営を行なっていれば、自ずと評価される。国体の毎年開催競技へ復帰できたのは、ある意味当然のことです。
山根体制よりも前は20位台でした。前体制は現代のスポーツ団体に求められる活動をないがしろにしてきたので、41位まで落ちました。今回はそれを本来あるべき姿に戻した状況。ボクシングの歴史、オリンピックを含め国際的に認知度が高い競技であることにプラスして、NFとして当然やるべきことを丁寧に積み重ねてきたことが評価されたため、国体の毎年開催競技へ復帰できたと考えております」
そもそも、国体の隔年開催への格下げはどんな影響があるのか。一つは競技人口。内田会長は言う。
「やはりかなり減ってしまう可能性があると思います。甲子園でも春夏2回ありますが、どちらも目指すものですよね。ボクシングで大学進学を目指す選手、プロで成功したい選手は国体、インターハイに凄くこだわっています。それがインターハイ一本になると、アピールするチャンスが減りますし、モチベーションの維持も難しくなります。それは監督、コーチ、審判も同じ。全国のボクシング関係者のモチベーションが下がると心配しています」
ネガティブな要素はこれだけではない。仲間氏が「非常に問題」と指摘するのが、行政予算がなくなることだ。国体やそのプレ大会開催時に得られる重要な運営資金は、大会開催だけでなく、国体に向けた環境整備などにも充てられる。しかし、隔年開催になれば、行政予算が得られるのも2年に一度だけ。仲間氏は「国体がなくなる=大会が1つなくなる、というだけの話ではないです」と強調した。