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なぜ異例の“2チーム制”導入? ラグビー日本代表、23年W杯へ「NDS」がもたらす刺激

日本代表の首脳陣が抱く、強化の出遅れへの危機感

 発案の動機は、コロナ感染によるパンデミック。ジョセフHCが、ダブルチーム構想をこう説明する。

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「パンデミックが始まりラグビーをすることが難しい状況のなかで、日本代表はここまで7試合程度しかできなかった。世界に遅れをとっているなかで、これから選手層を厚くしながらワールドカップへ向かっていきたい。怪我から帰ってくる選手、そして若い選手たちが、これからのテストマッチでしっかりとゲームタイムを確保して、コンディションを上げてワールドカップへ向かっていければいいと思う」

 来年のW杯で日本との対戦が決まっている強豪イングランドは、19年大会後から通算で24回ものテストマッチを消化している。他のベスト8クラスの国も同等の試合を消化して強化を積み上げているなかで、日本代表首脳には強化の出遅れへの危機感がある。19年大会終了時点で、すでに次回大会に向けた課題に浮上していた選手層の厚みを増す挑戦も不十分ななかで、編み出されたのがダブルチーム構想だった。

 5月31日に発表された日本代表、NDSは各34人。それぞれが宮崎、別府を強化拠点にして、コーチ陣もジョセフHC率いる代表組、堀川HCを中心としたNDSに振り分けられたが、堀川HCが「プログラムは日本代表のスケジュールに則ったもの。(スクラム担当の)斉藤展士アシスタントコーチは、(日本代表の)長谷川慎コーチと毎日会話しながら、代表が目指すスクラムを組んでいった」と明かすように、練習メニュー、戦術を共有しながら2つのチームが合宿を続けた。前週のトンガサムライXV、ウルグアイ第1戦をNDSで戦い、25日からのウルグアイ、フランス戦2試合を代表組が戦う。

 ジョセフHCも指摘するように、全員を同じチームに集めて強化するのではなくダブルチームに分かれての強化を打ち出したことには、4つのメリットがある。容易に代表になれないという厳しさを示すための差別化と、NDSから勝ち上がるためのハングリーさを若手選手に求めた。そして、代表常連組のなかでコンディションや評価を落とした選手をNDSで調整させ、状態をチェックすること。新しく選ばれたメンバーには、NDSでじっくりと代表チームの戦術を理解させ、代表で必要なスキルも共有させた。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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