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周囲の批判は「どうでもいい」 稲本潤一が力説、W杯に挑む日本代表に伝えたいこと

2002年日韓ワールドカップ(W杯)の開催から、今年で20周年を迎えた。日本列島に空前のサッカーブームを巻き起こした世界最大級の祭典は、日本のスポーツ界に何を遺したのか。「THE ANSWER」では20年前の開催期間に合わせて、5月31日から6月30日までの1か月間、「日韓W杯、20年後のレガシー」と題した特集記事を連日掲載。当時の日本代表メンバーや関係者に話を聞き、自国開催のW杯が国内スポーツ界に与えた影響について多角的な視点から迫る。

稲本潤一にとって3度目の出場となった2010年南アフリカW杯、サブ組の1人としてベスト16進出に貢献した【写真:Getty Images】
稲本潤一にとって3度目の出場となった2010年南アフリカW杯、サブ組の1人としてベスト16進出に貢献した【写真:Getty Images】

「日韓W杯、20年後のレガシー」#17 稲本潤一の回顧録・第4回

 2002年日韓ワールドカップ(W杯)の開催から、今年で20周年を迎えた。日本列島に空前のサッカーブームを巻き起こした世界最大級の祭典は、日本のスポーツ界に何を遺したのか。「THE ANSWER」では20年前の開催期間に合わせて、5月31日から6月30日までの1か月間、「日韓W杯、20年後のレガシー」と題した特集記事を連日掲載。当時の日本代表メンバーや関係者に話を聞き、自国開催のW杯が国内スポーツ界に与えた影響について多角的な視点から迫る。

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 ベルギー戦とロシア戦の2ゴールによって、国民的ヒーローとなった稲本潤一(現・南葛SC)が、20年が経った今の想いを語る「回顧録」の最終回。トルコ戦に敗れた直後、「何回でもW杯の舞台に立ちたい」との想いが去来した稲本は、その後2006年、10年大会にも出場する。3大会を経験したからこそ見えた、日本が世界で勝つために必要なこと、そして今年行われるカタールW杯に挑む選手たちへエールを送った。(取材・文=佐藤 俊)

 ◇ ◇ ◇

 日韓W杯、決勝トーナメント1回戦のトルコ戦、日本は1点をリードされ、終盤を迎えていた。稲本潤一は4試合連続で先発出場したが、ハーフタイムで交代となり、ベンチで戦況を見守っていた。

「試合前は、トルコ相手にいけるやろっていう雰囲気がありました。FIFAランキングや力関係でも負けていないし、『ベルギーやロシアと何が違うの?』っていう感じだった。でも、実際に戦ってみると、最後の局面では強いし、決勝トーナメントに上がってきただけのチームやなと思いましたね」

 トルコは前半12分、セットプレーのワンチャンスを生かして得点した。日本はチャンスこそ作るものの、なかなかゴールを奪えない。そして、そのまま無得点でトルコに敗れ、日韓W杯の戦いはベスト16で幕を下ろした。

「なんかモヤモヤが消えない試合でしたね。完全に力負けしたとかではないと思うんです。細かいところの差が最後に出たかなと思いますけど、それにしてもあっけなく終わったなという感じで……もったいなかったかなと思います」

 トルコ戦を終えた時、稲本自身の胸に去来したのは、どんな想いだったのだろうか。

「すぐに次も、また出たいと思いました。点を取って満足した部分もあるけど、最後の2試合は途中で代えられて悔しい思いをしているんで。点を取ったことで世界的な知名度は間違いなく上がったし、そのゴールがフルハムへの移籍につながった。改めてワールドカップの持つ影響力の大きさとか、凄さとか理解できたから、何回でもあの舞台に立ちたいと思いました」

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佐藤 俊

1963年生まれ。青山学院大学経営学部を卒業後、出版社勤務を経て1993年にフリーランスとして独立。W杯や五輪を現地取材するなどサッカーを中心に追いながら、大学駅伝などの陸上競技や卓球、伝統芸能まで幅広く執筆する。『箱根0区を駆ける者たち』(幻冬舎)、『学ぶ人 宮本恒靖』(文藝春秋)、『越境フットボーラー』(角川書店)、『箱根奪取』(集英社)など著書多数。2019年からは自ら本格的にマラソンを始め、記録更新を追い求めている。

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