大谷翔平、運命の赤で結ばれたJALとの縁 米挑戦から支える担当者が見た企業視点の魅力
運命感じたエンゼルス入団、18年凱旋で責任の大きさ実感
大谷がもたらしてくれるメリットは、企業の認知度向上に限らない。コロナ禍ではあるが、本拠地アナハイムへ観戦希望を持つファンは激増。JALを利用し、米国に行く需要を掘り起こすきっかけも作り出している。航空会社にとって、飛行機の搭乗時以外に、スポーツ会場の場で利用者にJALの名前に親近感を持ってもらい接点を作ることができるのも大きい。
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そんな大谷とサポート契約を結んだ際、渡邉さんはある種の運命を感じていた。JALもエンゼルスも、ブランドカラーは「赤」。移籍先が決まってからオファーを出したと思われがちだが、そうではなかった。
移籍先が決定する前から契約を打診。仮にドジャースなら青だし、ヤンキースなら黒のピンストライプ。赤以外のカラーのチームに入団する可能性もあったが、「チームはどこでも契約しよう」とGOサインが出た。蓋を開けてみればエンゼルス。期せずしてバッチリ合致した。
中学まで野球経験があり、根っからの野球ファンだった渡邉さんにとって、NPB時代の大谷は常識を覆し続けるただただ素晴らしい選手で、遠い存在だった。それが突然、仕事相手に。初対面となった撮影現場での印象は「終始礼儀正しく、クールな人柄」だった。
「(通訳の)水原さんとはリラックスして談笑されていましたが、空港スタッフにも毎回、礼儀正しく『ありがとうございます』と言ってくださいます」
渡邉さんの仕事は、CMなどで大谷を起用する際に、本人サイドと代理店等を通じて調整、企画を進めていくこと。加えて、年に2度の重要な任務があった。大谷を空港で無事に出国・帰国させる事だ。
「予約自体は席を確保するだけですが、空港にお越しになった時、注目を浴びてトラブルが起きないように、ケアはしっかりさせていただいています。日本に到着された時も、VIP担当を先頭に付けて、スムーズに動けるように段取りする必要がありますので」
大谷を担当することがどれだけ責任感のあることなのか、実感したのはメジャー移籍初年度の18年。大谷は打者として打率.285、22本塁打、61打点、投げても10試合で4勝を記録し、新人王に輝いた。帰国した大谷を待ち受けていたのは、多くのファンと報道陣。到着ゲート、ロビーで無数のフラッシュがたかれた。
「カメラがバーッといて、派手な帰国だったのが印象に残っています。出発の時も地上波生中継も入ったくらいだったので、その時も張りつめていましたね」