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最強・井上尚弥が「まだ強くなる」と断言できる理由 常人にはありえない技術の掛け算

井上の引退時期は陣営の判断「自分では衰えがわかりづらい」

 一つの競技の実力を極限まで高めてきたが、「まだ強くなる」と断言できる理由がある。本人は「当てはめ方」と明かした。

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「昨日は昨日でドネアに対してのボクシングがあれであって、仮にバトラー(WBO王者)とやるとしたら、また違うボクシングができるんですよ。バトラーにはバトラーを倒すためのボクシングをする。相手によって当てはめ方を変えて、どんどん成長すると思う。自分のボクシングは一つじゃなく、相手に適応していく。そこが伸びしろだなと思います」

 数多くあるボクシング技術を掛け合わせ、無数のスタイルをつくり出す。モンスターが持つジャンケンの手は3つではない。10も20も兼ね備え、勝負の最中に出し替えていく。普通のボクサーではありえない。そりゃ、強いわけだ。

 以前から「35歳で引退」と公言してきた。報道陣に「ドネアのように39歳でもやれるのでは?」と振られると、隣の父を見ながら「早く辞めてほしいでしょ?」と笑った。

「35歳ですかね。それは自分で決めるのではなく、会長、父に判断してもらいたい。ボクシングって、自分では衰えがはっきりとはわかりづらいと思うんですよ。スピードや反射は自分ではわからない。そういうところを見て判断してもらいたい」

 真吾トレーナーも続いた。

「そこに気づくのは自分(真吾氏)だと思うんですよ。やっぱり『反応がよくなかった』『鈍くなったよ』とか。こちらの目に見えるようになったら、話をしないといけない。そこは心配になってしまうことなので」

 小学1年でボクシングを始めた息子をずっと見てきたからこそ、ほんの些細な変化も見逃さない。今でも「気を抜かない」「冷静に」と、口酸っぱくふんどしを締めさせるのが役割だ。

 リング内外で衝撃を与える怪物。緊張感を募らせた調整期間、過酷な減量、キャリアを左右する大一番を終えた。ようやく重荷から解放された今、何をして過ごしたいのか。

「練習がしたいですね」

 ざわめく報道陣。驚くのにも疲れてきた。狙うはWBO王者ポール・バトラー(英国)との4団体統一戦。こちらが少し休みをもらい、次のビッグマッチまで英気を養いたい。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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