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井上尚弥も被弾、なぜドネアの左フックは当たるのか 警戒しても「見えない」理由

KOが生まれにくい軽量級では脅威を感じる武器

 ドネアを一躍有名にしたビック・ダルチニアン戦でも、当時無敵の相手を左フック一撃でKOした。そのほかにも世界3階級王者のフェルナンド・モンティエルや、複数階級を制覇したホルヘ・アルセも左フック一撃で仕留めている。

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 なかなかKOが生まれにくい軽量級で、相手を一撃で戦意喪失させるドネアのフックは脅威だろう。井上も前回の試合、フックの影響で視界が妨げられて苦戦した。そのため、ドネアの左フックには最大限警戒してくるはずだ。

 しかし、警戒していても見えないのがドネアの左フック。数々の名王者たちを、その一撃で葬ってきた。

 ドネアは前回の井上戦以降、強豪を撃破して自信を取り戻し、勢いに乗っている。今回の井上戦に向けては、「イノウエは多少進化しているが、最も成長したのは自分だと思っている。6月7日にどちらが上なのか、我々は知ることになる」と自信を持っている。リベンジを目指すドネアのモチベーションは高いだろう。

 この試合の勝者は、WBO世界バンタム級王者のポール・バトラーと対戦する可能性が高い。バトラーに勝利し、4つのベルトが統一されれば、バンタム級史上初の偉業を達成できる。

 4団体統一を目指す井上にとって、ドネア戦での勝利は必須だ。雪辱に燃えるドネアか、完全勝利を狙う井上か、試合が楽しみだ。

(木村 悠 / Yu Kimura)

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木村 悠

1983年生まれ。大学卒業後の2006年にプロデビューし、商社に勤めながら戦う異色の「商社マンボクサー」として注目を集める。2014年に日本ライトフライ級王座を獲得すると、2015年11月には世界初挑戦で第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオンとなった。2016年の現役引退後は、株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動、社員研修、ダイエット事業など多方面で活躍。2019年から『オンラインジム』をオープンすると、2021年7月には初の著書『ザ・ラストダイエット』(集英社)を上梓した。

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