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渋野日向子の亡き恩人が公言していた19歳ルーキーの躍進「岡山で次に来るのは桑木志帆」

桑木を支えた山陽放送・桑田茂さんは「岡山から次に来るのは桑木」と話していた(撮影は2020年8月)【写真:本人提供】
桑木を支えた山陽放送・桑田茂さんは「岡山から次に来るのは桑木」と話していた(撮影は2020年8月)【写真:本人提供】

山陽放送・桑田茂社長の尽力「桑木をよろしく頼む、と」

 ジュニアゴルファー育成に理解のある地元の環境にも助けられた。決して経済的に恵まれてはいなかったが、岡山県内の安価でプレーできるゴルフ場で腕を磨いた。4学年上には渋野がいて、「日向子ちゃんのように」と憧れた。そして、高2の2019年夏、渋野が全英女子オープンを制し、その思いは強くなった。当時、渋野はRSK山陽放送の所属。同社の桑田茂社長は、渋野の高校時代から目をかけ、偉業の瞬間を現地で見届けたことも話題になった。

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 正利さんによると、その頃から桑田社長は「岡山から次に来るのは桑木」と話していたという。

「娘は桑田社長にとてもかわいがっていただきました。ラウンドをご一緒した際も、地元企業の方々を紹介していただいたことで、プロテストに合格してすぐにたくさんのスポンサーが付きました。ツアーで使う移動の車も用意してもらっています。桑田社長が『桑木をよろしく頼む』と言っていただいていたお陰です」

 桑田さんは昨年4月9日、68歳で亡くなった。突然の別れだった。その2か月後の同6月、桑木はプロテスト一発合格を果たした。同12月には、ツアー最終予選会(QT)を13位。今季前半の出場権をつかみ、13戦目のリゾートトラスト レディスで初のトップ10入りを果たした。暫定リランキングは30位から13位に浮上。後半戦出場権も視野に入れた。「岡山から渋野の次に来る」。その言葉通り、順調に歩みを進めている。

 ただ、今大会では8番パー3のボギー以降、バーディーが決められなかったことに悔いが残った。奥西コーチは「8番は上って下って上るロングパットで、インパクトの直前に少しの緩みがあり、ショートしました。残り2メートルのパットもラインに不安を持ちながら、『決めたい』という思いで打って右に外してしまいました」と指摘。その上で「何よりこの緊張感を経験したことが大きいです。今後は重圧の中で、どれだけ安定したストローク、ライン読みをできるかが課題ですが、成長は著しいです。さらにご期待ください」と話している。

 桑木自身も日々、暗くなるまでパット練習を繰り返している。スマートフォンの光を頼りに練習を延長することもある。そして、大会中の会見では「同期合格者の中で一番早く優勝したいです」と野望を口にした。初めての優勝争いで負けはしたが、収穫大の4位。次の機会こそ野望を果たし、桑田さんの墓前に報告するつもりだ。

(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

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