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体重超過を一度も非難しなかった谷口将隆 物議を醸したV1戦、王者が相手を信じた理由

リングから四方に頭を下げた石澤開(中央)、谷口は意図的超過ではないと信じた【写真:浜田洋平】
リングから四方に頭を下げた石澤開(中央)、谷口は意図的超過ではないと信じた【写真:浜田洋平】

出稽古で見た石澤の姿「一本気のある人間」

 前日計量後も「しんどいのはお互い様。石澤選手は意図的ではないと信じたい」と責めることはなかった。ワタナベジムに出稽古に来た石澤と顔を合わせたことがある。「凄く真面目な一本気のある人間。礼儀正しい」と真っすぐな性格。今回はボクサーとして絶対にやってはならないことを犯したが、真摯な姿が頭にあり、故意ではないと信じた。

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 19年9月の日本同級王座挑戦者決定戦でも石澤に判定勝ち。再戦でも11回2分29秒、拳を交わした。試合前は物議を呼び、「一番、収まりの良いところに収まって良かった」と安堵の笑み。「(再計量までに)あと1キロ落としてほしかったのは正直な気持ちです。ボクサーの残り1キロは究極の大きさ」と明かしたが、非難の言葉は一度も出なかった。

「(対戦に)不安はあったけど、石澤選手は意図的に落とさないような選手ではない。思い詰めたと思う。出稽古とかで会って、人間性を知っている。海外の適当な選手とは違うと思います。僕も試合を受けたわけですし、彼にはこれから罰則がある。もうそれで禊は終わり。こういうこと(体重超過)はボクシング、格闘技に隣り合わせ。試合になったら、やるかやられるか。勝つことだけを考えた。試合をすればノーサイドです」

 決して体重超過を許していいというわけではない。試合の強行開催には危険があった。石澤には長期のライセンス停止など罰則が科される見込み。それでも、谷口は報道陣の前では「自分にもいい経験になった。全て経験に変えていけば、一回り成長できる」と笑った。今後は海外進出、同門のWBA世界ライトフライ級スーパー王者・京口紘人とのダブル世界戦などを視野に防衛を重ねていく。

 会見を終えた直後、大きく息を吐きながら小声で漏らした。「無事に終わってよかったです……」。無用なプレッシャーはあったはず。王者の実力と、相手を思いやる懐の深さが際立つ試合だった。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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