村田諒太、ゴロフキン戦を強く望んだ理由 カネロのような「陰」はない、敬意に満ちた決戦
カネロに感じた「陰」とは「もの凄い偉業を達成しても非常に残念」
19年11月にカネロが4階級制覇を達成した後、村田はこんなことを言っていた。
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「同じことをできるかと言うと、できない。それは素直にスゲェって言うしかない。でも、『今回のパワーはまた薬で得たものじゃないの?』『タフネスはそれで得たものじゃないの?』って思ってしまう。『お前、それで勝っただけじゃねぇか』って。だから、やっぱりアスリートはクリーンでないといけない。もの凄い偉業を達成しても、そこに陰があるのは非常に残念です」
ただ勝てばいい、というわけではない。ボクシングはルールのあるスポーツ。正々堂々と嘘偽りなく競技と向き合い、過酷な減量を乗り越え、恐怖心に打ち勝ってリングに上がる。この経験をするのは相手も同じだ。だから、互いに敬意が生まれる。薬物違反や体重超過などの「陰」があれば、敬意は決して得られない。
興行規模は20億円以上とされる日本ボクシング史上最大のビッグマッチ。コロナ禍に振り回され、ゴロフキンは1年4か月、村田は2年4か月ぶりの試合となる。年末開催から延期され、3月に再発表。村田は敬意を込めて感謝を口にしていた。
「今、彼のおかげで僕も自分の内側に意識を向けながら試合に向かっている。そういう状況をつくれているのが凄くありがたいです。この試合で何が得られるのか、試合が終わった時にどういう景色が見えるのかわからないけど、今こうやって過ごしてる時期も、もの凄く大きな時期。そういう状態をつくってくれるのがゴロフキンという選手です。ここまで待って試合をやってくれる。そして、常に目標でいてくれた。試合を受けてくれた彼に感謝したい」
7日の会見で対面し、両者からは「尊敬」「感謝」の言葉が口をついた。無駄な煽りなんていらない。4月9日は、ボクシングというスポーツの本質を突き詰めた試合になる。村田が初めて世界チャンピオンの肩書きを手にし、対戦を宣言した夜から4年半。最強で、最高の相手と殴り合う。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)