村田諒太、ゴロフキン戦を強く望んだ理由 カネロのような「陰」はない、敬意に満ちた決戦
日本ボクシング史上最大のビッグマッチがついに実現する。9日にさいたまスーパーアリーナで行われるWBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太(帝拳)とIBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の王座統一戦。村田が4年半前に初めて世界王者になった時、将来の対戦を熱望した最強王者だ。なぜ、ゴロフキンがいいのか。「ただ強い」だけじゃない理由があった。戦績は36歳の村田が16勝(13KO)2敗、40歳のゴロフキンが41勝(36KO)1敗1分け。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
村田諒太VSゴロフキンが今夜ゴング
日本ボクシング史上最大のビッグマッチがついに実現する。9日にさいたまスーパーアリーナで行われるWBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太(帝拳)とIBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)の王座統一戦。村田が4年半前に初めて世界王者になった時、将来の対戦を熱望した最強王者だ。なぜ、ゴロフキンがいいのか。「ただ強い」だけじゃない理由があった。戦績は36歳の村田が16勝(13KO)2敗、40歳のゴロフキンが41勝(36KO)1敗1分け。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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2017年10月22日。初めて世界王者になった村田は、リング上から8500人のファンに向かって宣言した。
「今は4団体ありますし、いろんな強いチャンピオンがいます。ここにいるボクシングが本当に大好きな人は、僕より強いミドル級のチャンピオンがいることも知っています。そこを目指して頑張りたい」
村田が奪取したのはWBA世界ミドル級の「正規王座」。しかし、さらに上の「スーパー王座」を保持する選手がいた。ゴロフキンだ。同王座のほか、WBC、IBFの3団体のベルトを持つ統一王者。主要4団体のうち3つを占め、階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」でもトップに君臨する最強ボクサーだった。
カザフスタンの英雄は、カネロことサウル・アルバレス(メキシコ)と世界的メガマッチを2度行った。17年9月の1戦目は引き分け。翌年春にカネロはドーピング検査で陽性反応を示した。18年9月の2戦目はゴロフキンの判定負け。王座陥落したが、世界中の識者やファンから「不可解」の声が上がり、判定結果が物議を呼んだ。
現在までの戦績は41勝(36KO)1敗1分け。村田は今回の対戦を発表した際、「戦績は1敗1分けとありますが、僕の中では勝っていた試合だと思う。事実上、負けたことのない選手だと思っている」と語気を強めた。ビッグマッチを実現させるためにカネロをターゲットにした時期もあったが、いつも胸の奥にあったのは「クリーンな選手とやりたい」だった。
村田はゴロフキンについて「やはり強い。強さの象徴であり、真摯」と表現する。人にも、ボクシングに対しても真摯。互いにリスペクトが生まれる関係で拳を交えることに意味がある。
ここに村田がゴロフキン戦を強く望んだ理由があった。
「ボクシングが一つのエンターテインメントとするなら、(意識が)外に向くことが多い競技だなと思う。自分がやっていることに対して、内側に向くことが少ない。というのも、卑怯なことをしない、正直でいる、ルールを遵守するとか、そういった強さが彼にはある。やはり外に向けて『はい、勝ったからいいんだ』『目立ったからいいんだ』とか、そうじゃない。
外に向けて『こんなに僕は凄いんだ』『こんなに稼いでいる』といくら言ったって、自己肯定感が持てないようでは何のためにボクシングをしてきたかわからない。自己肯定感は自分がボクシングを通して得たかったもの。試合に勝つ、負けるじゃなく、過程においても大事なものを再確認させてくれる最高の相手です。リスペクトできる選手ですね。やっぱりその姿勢は僕自身も見習っていかなきゃいけない」