村田諒太、アンチすら夢見る番狂わせ ゴロフキン戦の右拳に宿る“ワンチャン”の香り
試合を実現させた帝拳ジム会長の信頼「予想は1対9になるかもしれないが…」
本来なら昨年末に行われていた試合。コロナ禍で延期になり、調整期間を多く得られた。秘めたプランは延長があったから固まったものなのか。「間違いないです」。断言した日本人王者は「試合が12月だったら時間が足りていなかった。スパーリングの量も含めて足りていなかったですね」と付け加えた。
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帝拳ジムの浜田剛史代表は「時間が十分にあったので、いろんな練習ができた。今、完成に近い状態にあるんじゃないか」と自信を見せた。本田明彦会長も「村田に一番期待するのは、頭と気持ちの強さとガード。ここで勝負するしかない」。ガードと強打を最大限に生かしつつ、新たな引き出しで捕まえる青写真。ボクシングオタクを自負し、知略家の村田が立てた戦略は期待を膨らませる。
悲観的な声が多いのは百も承知。それもそのはず、ゴロフキンに1勝1分けの「カネロ」こと世界4階級制覇王者サウル・アルバレス(メキシコ)を除き、世界中どんなボクサーもゴロフキンを前にすれば分が悪い。心から応援するファンでさえも、村田の不利を理解している。今回対峙するのは、それほど歴史的に強い選手なのだ。
「勝算はありますか」。問われた村田は強く返した。
「勝算という言葉は使いたくない。ちゃんとやって、ちゃんと勝ちます。勝算があるかって言われると、『勝てねぇだろ』って言われている気持ちになるわけですよ。そういう気持ちがないわけです。勝てないと思っていない。勝てないという気持ちでリングに上がらない」
日本のボクシング界を約50年間見てきた本田会長は、ビッグマッチ実現に尽力した。負けるとわかって試合を用意するはずがない。「予想は2対8や1対9になるかもしれません。でも、私はかみ合うと信じています」。期待されるのは究極のド突き合い。悲観的予想を拳で覆せ――。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)