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日本でも部活指導員に支払われる報酬 指導者報酬の金額を米国は誰がどう決めるのか

日本でも後援会がどこまで口と手を出してよいのかという問題

 ベルビュー学区のアメリカンフットボールコーチが、規定の金額の10倍以上のお金をもらっていたのは、ブースタークラブが財政支援したからだ。(ブースタークラブにお金持ちの支援者がいたのだろうと思う)。

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 ワシントン州の高校体育協会がこれを問題視し、2008年にはコーチ側500ドル以上の金銭を受け取る場合は、学区教育委員会の承認が必要という規則を追加した。ブースタークラブの財政支援についても、指導者報酬の金額については、学区教育委員会側が最終的な決定権を握ることを意図したものだといえる。もともと、コーチの報酬額は、労使の協定で合意した額だったはずで、10倍以上もの支払いは、労使の協定をないがしろにしていることにもなる。

 しかし、この後も、名目を変えて、2008年から12年までに計31万ドル(約3800万円)以上がコーチ陣に支払われていたという。その後も、選手のリクルートのプロセスなどいくつかの問題が明るみに出て、このコーチは2016年に、2年間出場停止処分を受けている。

 多くの学校や運動部には「ブースタークラブ」がある。お金を扱うだけに、その活動規則は定められているが、存在そのものは、米国では「悪」とはみなされていない。

 日本の学校運動部でも、後援会はどこまで口と手を出してよいのかという問題はこれまでにもあっただろう。しかし、これからは地域と連携しながら、地域部活動を行うことも出てくるため、後援会や支援グループとの関係はより複雑になる可能性もある。地域部活動の指導者に対して、参加費以外にも、お礼の気持ちを表現したいとして、保護者が謝礼を払ってもよいのかどうか。地域部活動に寄付の申し出があった場合には、どのように受け取り、活動に役立てればよいのか。そのようなことも議論する必要があるかもしれない。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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