ゴルフ界で「お金をかけずに強くなる」実践 プロになった娘のキャディー務めた父の幸せ
「お金をかけずに強くなる」を実践してきた教育
49歳の雄士さんは仕事がオフになると、娘たち、長男の光太さん(埼玉栄高2年)と一緒にトレーニングをしている。それは3人が幼少期からのことで、ダッシュ、持久走で下半身を強化、小学校の校庭にある上り棒、鉄棒、自宅に設置した懸垂器具で上半身を鍛えてきた。「お金をかけずに強くなっていく」をテーマに子供たちに課したメニューを可能な限り、自身でもこなしている。
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そうした日々があり、起伏の激しい土佐CCをものともせず、重いキャディーバッグを担ぐ姿があった。肌寒い朝から半袖、短パン。引き締まった体は同世代として、うらやましくもあった。初日、68の4アンダー、6位で会見した千怜は、雄士さんのキャディーについて、少し照れながら言った。
「なかなか良かったです(笑)。『自信を持って』『直感を信じろ』と、背中を押す言葉も掛けてくれました。水も飲みたい時に渡してくれました」
雄士さんにそれを伝えると、娘たちがプロになったことを実感して言った。「私は幸せ者です。素直にうれしいです」。ライン読み、やり取りなどで、「もう少しこうすれば良かった」との思いはあるというが、雄士さんと千怜が醸し出す「いい空気感」は、観客にも伝わっていた。そして、最終日は17番、18番で連続バーディー締め。大きな拍手を受けた。「もう、千怜のおかげで最高に気持ち良かったです」。父子で笑い、明愛もロープ外で微笑んだ。
まだ始まったばかりの岩井家物語「プロゴルファー編」。父はトレーニングを継続し、機を見てバッグを担ぐつもりだ。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)