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モーグル上村愛子が環境問題に取り組む理由 現役時代に「氷河」で見た忘れられない風景

上村さんは未来へ向けて、環境に優しい消費選択を心掛けている【写真:松橋晶子】
上村さんは未来へ向けて、環境に優しい消費選択を心掛けている【写真:松橋晶子】

環境に優しいエシカルな選択を「100円の負担が未来に繋がるのであれば」

 スノースポーツの楽しさを知るからこそ、雪が織りなす風景の美しさを知るからこそ、自然が与えてくれた宝物を守り抜き、ずっと先まで繋いでいきたいと願う。

「私がスキーをできない年齢になるくらいまでは多分、雪はあると思います。ただ、次の世代やその次の世代の頃には、もしかしたら雪景色がほとんど見られない地球になるのでは、という話がある。『昔はあんな景色があったんだね。見てみたかった』という未来にならないように、今から足止めをする意識を持って生きていかないといけないという気持ちが強くあります」

 現役時代と変わらないフンワリとした笑顔を浮かべながら発する言葉には、一本芯が通っている。SNSでの発信も自分の価値観を強く主張するものではなく、「自分がすごくキレイだなと思う景色の写真に、時々そういう環境を考える言葉を少し入れたり」というシンプルなものだが、心に秘める想いの強さは伝わってくる。

「今の便利な生活を変えずに生きていたいのは多分、皆さんが誰でも思うこと。でも、今変えないといけないことはたくさんあると思っています。今は『これがあったらいいな』が揃っている世の中で、人にとにかく楽をさせてくれる選択肢が多いですが、本当に必要なものなのか考えるだけでも一歩、あるいは半歩前に進めるのかなと。環境を守るために、自分の生活の中で何に取り組めるのか考えることって楽しいですし、自分が少し貢献できていると思うだけでも気持ちが明るくなれるもの。楽しみながら取り組めたらいいのではと思います」

 2015年に気候変動への取り組みに関する国際条約「パリ協定」が誕生したり、国連サミットで持続的な開発目標「SDGs」が採択されたりしたこともあり、世界的に環境問題に対する意識が高まった。日本もその例外ではなく、環境はもちろん、周りの人々や地域社会を思いやる「エシカル消費」という考え方が広まりつつある。

「個人では大きなことはできないので、小さなことからでいい。エシカルな商品がたくさん誕生しているので、同じような生活を送りながら、環境に負担の少ない形を取れるようになってきました。エシカルな商品はまだ少し値段が高いと感じることもありますが、100円の負担が未来に繋がるのであれば、いい投資だと思います。値段が上がると大事に使ったり、丁寧に物事をやるようになったりすることもある。そういった変化や発見を面白がりながら、楽しく取り組んでいきたいと思っています」

 大自然を相手にするスキーを通じて知った環境の変化。与えられた課題はとてつもなく大きなものだが、現役時代と同じように自然体のまま、できることから一歩一歩積み重ねていく。

(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)

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