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今なおフィギュア界で燻る誹謗中傷問題 「病気を使った売名」と罵られた鈴木明子の願い

思うような結果が残せなかった選手へ「胸を張って日本に帰ってきて」

 今大会出場した選手のなかには期待に応えられた選手と、そうでない選手がいるかもしれません。

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 一番悔しいのは自分自身。五輪の場で思うように演技できないことを望んでいる選手なんて誰一人いない。一生懸命にやらない選手は、あの舞台に立つことなんてできない。でも、どれだけ努力をしてきても、うまくいかないことは人生にはある。

 それはアスリートに限らず、一緒ではないでしょうか。もちろん、五輪選手は国から派遣される存在。私もメダルを獲れなかった人間なので、厳しい声を受けることは理解できます。ただ、彼らもアスリートである前に人間であることを見る側の方も忘れてほしくありません。

 また、選手たち自身がとてつもない努力をしたから日本の代表になり、あの舞台に立てた。そのリスペクトをもってくれたらと思います。

 思うような結果を残せなかった選手の皆さんの苦しい気持ちは容易に想像できます。でも、そこで人生は終わりじゃない。長い人生で悔しさを何らの形で生かすことができれば、それは何の失敗でもない。怖がることなく、胸を張って日本に帰ってきてほしい。

 そして、競技を続ける選手はまた思う存分にリンクの上で力を発揮してほしいと思います。

【私がフィギュアスケートを愛する理由】

「生きていれば、成功の裏には失敗があり、つまずくことがあります。たとえ、ミスが出て、転んでも立ち上がっていくフィギュアスケートは、2分40秒なり、4分なりに人生が凝縮しているような感じがします。しかも、その人が歩んできた道のりや感性がそのまま、氷に映し出される。シングルはたった1人で氷の上に立ち、自分の人生がさらけ出されているような感覚。それが見る人たちに伝わり、ジャンプの成功にものすごく胸が高鳴ったり、失敗して『頑張れ!』と思えたり。そういうところが、私は好きです。

 もう一つ、フィギュアスケートは転んでも怪我など大きなことでレフェリーが止めない限り、最後まで滑り切れる。3回転んだら音楽が止められ、『ハイ、終わり』となるわけではない。転ぼうが、つまずこうが、自分が諦めない限り立ち上がり滑り切ることができる。そこが人生と一緒だと感じるんです。失敗しない人間なんていない。だからうまくいったときに大きな喜びが生まれる。選手それぞれの生き様が氷の上で描かれる。人生が詰まっている競技だと私は思います」(THE ANSWERスペシャリスト・鈴木明子さん)

 ※「THE ANSWER」では北京五輪期間中、取材に協力いただいた皆さんに「私がフィギュアスケートを愛する理由」を聞き、発信しています。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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鈴木 明子

THE ANSWERスペシャリスト プロフィギュアスケーター

1985年3月28日生まれ。愛知県出身。6歳からスケートを始め、00年に15歳で初出場した全日本選手権で4位に入り、脚光を浴びる。東北福祉大入学後に摂食障害を患い、03-04年シーズンは休養。翌シーズンに復帰後は09年全日本選手権2位となり、24歳で初の表彰台。10年バンクーバー五輪8位入賞。以降、12年世界選手権3位、13年全日本選手権優勝などの実績を残し、14年ソチ五輪で2大会連続8位入賞。同年の世界選手権を最後に29歳で現役引退した。現在はプロフィギュアスケーターとして活躍する傍ら、全国で講演活動も行う。

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