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最強ロシアは「4年持たない選手が多い」 女子の“4回転時代”に高橋大輔の恩師が持論

4回転を軸にした戦い方だと「年齢がもっと下がる」

――日本代表の女子もそれぞれ魅力的です。坂本花織選手は日本人唯一のグランプリファイナリストで全日本王者、樋口新葉選手は全日本2位、河辺愛菜選手はNHK杯2位、全日本3位です。

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「三人三様で、個性がある選手たちですよね。(坂本)花織ちゃんはとにかく壮大。スピード感というよりも、本当にスピードがあって、ジャンプだって跳べるし、その壮大な感じが世界に認められたらいいなと思います。日本人の中では脚力が違いますね。今年1月のインカレにも出場し、すごく寒くて氷が硬かったんですが、しっかり滑れるだけの体力を見せていました」

――樋口選手は『ライオンキング』という、彼女のためのようなプログラムに出会いました。

「新葉ちゃんは独特なセンスを持った選手で、(フリーの)ライオンキングはたしかに惹き込まれるプログラムですね。すごくパッションを感じるというか。前回のオリンピック選考で悔しい思いをしたはずだし、プログラム全体を通じて、彼女らしさを遺憾なく発揮して欲しいです」

――河辺選手は全日本のショートプログラムで唯一トリプルアクセルを成功させるなど、強気の17歳です。

「河辺さんは若いし、恐れずに思い切りチャレンジしてほしいですね。ジャンプの精度が上がって、演技全体のレベルも上がってきていて。伸びしろのある選手で、よく練習をするし、フィジカルが強い選手ですね」

――日本女子のメダル獲得に向け、可能性を探るとすれば?

「とにかくGOEをできるだけ稼いで、ノーミスで滑って、ステップ、スピンは全部レベル4で。それでも向こうがノーミスだったら厳しいですが、そこは勝負なので何が起こってもおかしくはないはずです」

――女子には難しい時代で、日本もロシアのように4回転に取り組むべきなのでしょうか?

「どうしたら4回転がぼんぼん跳べるのか、本当に教えて欲しい(笑)。ただ、ロシアは4年持たない選手が多いんです。ピークの子が大会で優勝し、どんどん人が変わっていく。4年間、あの力を維持するのは難しく、4回転を軸にした戦い方だと、(ピークの)年齢がもっと下がってきてしまう気がします。勝つためには日本もそうするべき、という声もありますが、私は一人ひとりの選手が年齢を重ねて素敵にでき上がっていくのを見たいなって思うので……女子(のコーチ)は向いていないかもしれません(笑)」

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長光歌子

関大アイススケート部コーチ 
1951年生まれ、兵庫県出身。66年の全日本ジュニア選手権で優勝するなど選手として実績を残すと、引退後は指導者として多くのスケーターを育てる。高橋大輔を中学時代から指導し、2010年バンクーバー五輪で銅メダル、同年の世界選手権で優勝に導いた。フィギュアスケートをこよなく愛し、現在は関大アイススケート部コーチを務める。

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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