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最強ロシアは「4年持たない選手が多い」 女子の“4回転時代”に高橋大輔の恩師が持論

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

金メダル最有力とされるROC(ロシア・オリンピック委員会)のカミラ・ワリエワ【写真:AP】
金メダル最有力とされるROC(ロシア・オリンピック委員会)のカミラ・ワリエワ【写真:AP】

「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」#74 連載「名伯楽のフィギュアスケート論」第5回

「THE ANSWER」は北京五輪期間中、選手や関係者の知られざるストーリー、競技の専門家解説や意外と知らない知識を紹介し、五輪を新たな“見方”で楽しむ「THE ANSWER的 オリンピックのミカタ」を連日掲載。注目競技の一つ、フィギュアスケートは「フィギュアを好きな人はもっと好きに、フィギュアを知らない人は初めて好きになる17日間」をコンセプトに総力特集し、競技の“今”を伝え、競技の“これから”につなげる。

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 開催中の北京五輪で日本人フィギュアスケーターの活躍が続いているが、その土台を作った1人に挙げられるのが、数々の選手を育ててきた長光歌子コーチだ。高橋大輔を中学時代から長年指導し、2010年バンクーバー五輪での日本男子初の銅メダル獲得に導いた。そんな歴史を築いた名伯楽が語る「フィギュアスケート論」。今回は女子シングルをテーマに、北京五輪の表彰台を独占するとも言われているロシア勢の強さや、日本人選手たちの印象について語ってもらった。(取材・文=小宮 良之)

 ◇ ◇ ◇

 2022年北京五輪のフィギュアスケート女子シングルは、強力なロシア勢が席巻することが予想されるが、日本女子に活路はあるのか。

<予定構成をそのままノーミスで滑れたら、ロシア勢がメダルを独占する>

 それが識者たちの見解だろう。

 世界最高得点を叩き出しているカミラ・ワリエワは、フィギュアスケートをするために生まれたマシンのように精密で圧倒的だ。アレクサンドラ・トルソワは「世紀の4回転ジャンパー」として、男子も顔負けの得点を叩き出せる。昨年の世界選手権女王アンナ・シェルバコワは華麗さとダイナミックさを併せ持つ。そしてロシアには北京五輪代表のこの3人だけでなく、元世界女王で円熟味を増すエリザベータ・トゥクタミシェワを筆頭にアリョーナ・コストルナヤ、マイア・フロミフ、ダリア・ウサチョワなど五輪優勝を争えるレベルの選手がひしめき合っているのだ。

 果たして、日本女子はロシア勢に太刀打ちできるのか。実際に何度も五輪を戦った経験のある長光歌子コーチに、その展望を聞いた。

――金メダルの行方を占うと、どうしてもロシア勢になるのでしょうか? 中止になった昨年12月のグランプリファイナルも6人中5人がロシア人でした。

「そこは『ロシアの誰か』になる可能性が高いかもしれません。日本人選手の優勝は現実的に厳しくて。もちろん、そうなって欲しいと心から思いますけど。ロシアの女の子たちのスケートを見てしまうと……」

――ジャンプばかりが注目されますが、それだけではないですね。

「ロシアの女の子は情感も感じさせるし、見た目も綺麗というか、得点を出しやすい演技をするなと思います。ワリエワの両手上げジャンプはたぶん、もうあれのほうが跳びやすいんだと思いますね」

――どうやったら、あのような選手が育つのでしょうか?

「親御さん(の体格)まで見て、遺伝的なところで骨格とかも調べているという話を聞きました。ポテンシャルが高い子を全国から集めているし、優れたコーチもいるわけで。本当に、潜入してみたいですよ(笑)」

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長光歌子

関大アイススケート部コーチ 
1951年生まれ、兵庫県出身。66年の全日本ジュニア選手権で優勝するなど選手として実績を残すと、引退後は指導者として多くのスケーターを育てる。高橋大輔を中学時代から指導し、2010年バンクーバー五輪で銅メダル、同年の世界選手権で優勝に導いた。フィギュアスケートをこよなく愛し、現在は関大アイススケート部コーチを務める。

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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