羽生結弦は「本当に優しいスケーター」 ブレード職人が靴で気づいた「心の美しさ」
靴に表れた「羽生結弦」というスケーターの特長「彼にはそれがないんです」
櫻井さんも全日本選手権の出場経験があるフィギュアスケーターだった。本格的に研磨職人の道を歩み初めて10年。日本代表を含め、今も全日本選手権に出場するようなトップ選手10人ほどに関わっている。
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年間約500足、多くの選手と誠心誠意向き合ってきた。預けられた靴を見ただけで、どんな性格なのか想像できる。「羽生結弦」というスケーターの特長とは。素直な人柄らしいものだった。
「靴の扱いが上手いので壊すことも少ない。負荷を掛けない滑り方をします。ジャンプでも、強く一気に『ドンっ!』と降りる選手はすぐに壊してしまう。羽生選手にはそれがないんですよね。やっぱり着地とかが綺麗で、無理なくスケートをしています。高くてダイナミックに降りる選手もいれば、綺麗に見えてもめちゃくちゃ踏ん張って負荷を掛けている選手もいる。羽生選手は凄く綺麗にシャーっと力を逃がせています」
全日本レベルの選手なら、6~8か月に1回を目安に靴を新調する。羽生は平均より長くはける方だという。
「道具に対しても、彼は本当に優しいスケーター。だから本人も、こちら側も苦労しにくいですね」
心の美しさは足先にまで表れている。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)