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NZ代表スターに未来の“桜戦士”候補3人 リーグワン開幕3節で躍動した外国人選手たち

日本代表の強化につながるカテゴリーBの“好素材”3人

 このカテゴリーB選手の中で、リーグワン序盤戦で存在感を見せたのがクボタスピアーズ船橋・東京ベイのPRオペティ・ヘルだ。練習生としてチーム入りしたのは2019年だが、チームのリーグワン初戦となった第2節の浦安戦で公式戦デビューすると、身長190センチ、体重127キロの破格のサイズを生かした激しいコンタクトを連発してチームを勢いづけた。トンガ王国生まれで、オーストラリア育ち。高校時代はオーストラリア高校代表でもプレーしたが、その後2年間キリスト教の布教活動を経て、同じ東京ベイに所属する義兄のトゥパ・フィナウに誘われて日本での挑戦を選んだ。

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 デビュー2戦目となった神戸戦では、さらに存在感をアピールした。母国トンガが火山噴火の影響を受けた翌週の試合だったが、開始直後にいきなりブレークダウンでジャッカルを決めると、13分には自らボールを持ってモールを組むと、ディフェンス3人をなぎ倒して前進。25分には、日本代表でも活躍する神戸CTBラファエレ・ティモシーをハードタックルでなぎ倒してPKを獲得するなど、攻守にパワーを炸裂させた。ヘル自身は「今は自分の進化のプロセスだと考えているが、やるべき役割が明確だし、周囲の仲間がいて支えてくれるから、自分も強くなれる」と控えめだが、圧倒的なフィジカルの強さはもちろん、127キロの体重ながら従来の巨漢選手にない運動量とスタミナに可能性を感じさせる。日本代表入りのためには60か月の居住が条件だが、まだ23歳という若さも期待の原石だ。

 ヘルのように若く、ポテンシャルを秘めたカテゴリーB対象の選手たちは、日本で活躍をすれば、当然ながら母国でも代表入りの可能性が浮上してくる。昨年すでに日本代表入りしたCTBディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)も、幼い頃から育ったオーストラリア協会からも一時接触があったと聞く。同国では、有望選手の日本への流出を指摘する報道も見られた。ディアンズを越える身長を誇る東京SGのLOハリー・ホッキングスは、サイズだけではなく運動量も兼ね備えた23歳。チームでは、オーストラリア協会からの関心も察知しながら、チームの中心選手へと鍛え、将来的に本人が日本代表入りを目指すなら後押しする考えだ。

 同じオーストラリア出身でブラックラムズ東京のSOアイザック・ルーカスは、兄・マットを追うように来日して2シーズン目。相手防御にギャップを見つける視野と、仕掛ける俊敏さを併せ持つ超攻撃的な司令塔だ。現時点でチーム唯一の公式戦だった大阪戦では、後半9分に自ら仕掛けたアタックで、タックルを受けながらボディターンを駆使して防御を崩し、WTB栗原のトライをアシスト。16分には、ゴール前のショートパントでFBマット・マッガーンのトライを生み出した。後半22分のWTB西川のトライも、自らのパスを起点に生み出すなど、トライを生み出す術を知り尽くしている。

 昨季から実戦経験があるため、日本代表でプレーできるのは2027年から。5シーズンという時間を、本人が日本で待ち続けるかは分からないが、まだ22歳という若さのために、28歳と脂の乗り切った年齢で桜のジャージーを着られる可能性を持つ。

 カテゴリーBで紹介した3人は、ともに1998-99年生まれと、これからも成長していく世代。このような可能性に満ちた好素材を、リーグ、協会が連携しながら経験値を積み上げ、育成することも、新リーグの重要なミッションになるのは間違いない。コロナ禍で、他の競技同様にリーグワンもいつ中断という状況に陥っても不思議ではない。毎週が綱渡りのような状況だが、ピッチの上では、30人の男たちが激しい真剣勝負と、可能性に満ち溢れたプレーを見せ続けている。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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