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NZ代表スターに未来の“桜戦士”候補3人 リーグワン開幕3節で躍動した外国人選手たち

浦安“10-15コンビ”は世界屈指のホットライン

 そして、マッケンジー以上の存在感を見せたのが、シャイニングアークス東京ベイ浦安に加入したFBイズラエル・フォラウだ。身長194センチ、体重103キロというサイズを生かした空中戦と、サイズに似合わない変幻自在のステップを併せ持つ超攻撃的なプレーで、オーストラリア代表73キャップを誇る。コベルコ神戸スティーラーズとの開幕戦では、開始5分のファーストタッチでブレーキの利いたステップによって防御を抜き去る個人技を見せるなど、ボールを持てばゲインラインを越えるアタックを連発。12分には、わずか5度目のタッチで、ステップを駆使して2人のマークを外して浦安のリーグワン初トライを決めた。

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 圧巻だったのは、1点ビハインドで迎えた後半36分。同じく新加入のSOオテレ・ブラックが敵ゴール前に浮かせたパントを、191センチのトンガ代表アンダーソン・フレイザー、186センチの日本代表アタアタ・モエアキオラの両WTBに挟まれるように競り合いながら奪い取り、逆転トライをマーク。「オテレとコミュニケーションを取って、キックを蹴るように伝えた。毎週準備をしてきたので、その成果を出せた。素晴らしい瞬間だった」と、チームを劇的な勝利に導いたプレーを満足そうに振り返った。

 オーストラリア・ラグビー協会が結果的に謝意を示すなど揺れ動いた差別発言問題の影響もあり、代表からは遠ざかるフォラウだが、浦安でのデビュー戦で、いまだに世界最高レベルのポテンシャルを持つことは証明した。フォラウにとって大きなプラス材料となるのが、同じく新加入のSOブラックの存在だ。母国ニュージーランドでは、常にボーデン・バレットの陰に隠れた存在。SOとしてはバレットや、同じくニュージーランド代表で活躍するリッチー・モウンガのような派手さはないが、パス、キック、ランと堅実なプレーが持ち味で、この試合の逆転トライのように、これからもフォラウのポテンシャルを引き出してくれる期待感は高い。浦安“10-15コンビ”は、リーグワンどころか世界でも屈指のホットラインだ。

 一方で、フォラウ、マッケンジーにも劣らない世界的な選手として注目されるトヨタの南アフリカ代表FLピーターステフ・デュトイ、ニュージーランド代表LOパトリック・トゥイプロトゥは、東京SGに敗れた国内デビュー戦では、代表で見せたポテンシャルを出し切れずに終わった。パワーが武器の大型選手にとっては、日本のラグビーは母国とは明らかに異なるハイテンポでゲームが進む。その中でもスピードを信条とする東京SGとのいきなりの激突で、まだ戸惑いがあったという印象だ。プレシーズンマッチも含めて開催中止などが相次ぎ、実戦感覚を掴むのが難しい状況下でのリーグで、どのタイミングで日本ラグビーのテンポに順応していくことができるかに注目したい。

 ここまで新加入の世界のレジェンドに触れてきたが、新リーグではもう一つの注目すべきカテゴリーの選手たちがいる。カテゴリーBと呼ばれる「日本代表資格獲得見込み」選手だ。他国の代表歴を持たず、居住規約をクリアすれば日本代表になれる選手たちを指す。ラグビーの統括団体「ワールドラグビー」が、今年から導入する新規約で、外国人選手が他国代表になるには、当該国に継続的に居住する条件が60か月になった。つまり5年間は日本代表にはなれないという遠い道程ではあるが、リーグワン各チームは、従来以上に若い世代の好素材を世界各国から集めている。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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