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「やっぱり甘くはなかった」マラソンデビュー 九電工・大塚祥平の2時間5分台への道

シューズは高校時代からアディダスを愛用。「ここ数年、シューズの進化でトラック、駅伝、マラソンと一気に記録が伸びている。昔よりもシューズの重要性が高くなっているなと感じます」【写真:荒川祐史】
シューズは高校時代からアディダスを愛用。「ここ数年、シューズの進化でトラック、駅伝、マラソンと一気に記録が伸びている。昔よりもシューズの重要性が高くなっているなと感じます」【写真:荒川祐史】

経験値を積んだMGC「達成感のあるレースでした」

「自分よりも強い選手はいっぱいいる」。そう自らの立ち位置を評価する大塚は2019年、東京五輪の選考シーズン突入後も、本大会出場を特別意識することはなかった。

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 ところが、東京五輪マラソン日本代表選考レースとなった2019年9月のMGCファイナル。大塚は指定レースで出場権を得た31名のランナーが出場するなか、レース終盤まで先頭集団を走った。

「6月ぐらいから本格的にマラソン練習を初め、本当にアクシデントもなく、予定通りのいい練習ができました。本命に見られる選手のプレッシャーはすごかったと思いますが、自分は強い選手がたくさんいるなかで、どれだけ通用するのか?とチャレンジする立場。体も心もよい状態で、集中して臨めた」

 3キロを残し、レースは中村匠吾(富士通)、服部勇馬(トヨタ自動車)、大迫傑(ナイキ)の三つ巴の体となる。このとき4位につけていた大塚は3人の少し後ろから、冷静にレース展開を『観戦』していた。

「勿論、体はきつかったんですが、(3人の)争いを後ろから見ていて『大迫さんが離れている!』と思ったり、また大迫さんが追いつく姿に、『おぉ~さすがだなぁ』と思ったりしていました。

 順位が一つ、二つ、上だったら全然違ってはいましたが、あのレースは積んできた練習を含め、本当にやれるだけのことをやったと思えた。4位に入ったことは自信になったし、後悔はなく、達成感のあるレースでした」

 その後、中村、服部、大迫が東京五輪男子マラソンの代表に内定。大塚は橋本崚(GMOインターネットグループ)とともに補欠となり、『4番目の選手』として東京五輪を迎える。

「よく『補欠の立場で大変ですよね』と言われましたが、全然気になりませんでした。むしろプレッシャーはないが下手な走りはできない、という立場だったので、いい緊張感や責任を持って、競技や試合に取り組めました」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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