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井上尚弥、10万円の価値がある練習風景 強く広めたい、日本ボクシング最高傑作の極意

13日の会見で意気込みを語った井上尚弥、モンスターの凄さを知ってほしい【写真:浜田洋平】
13日の会見で意気込みを語った井上尚弥、モンスターの凄さを知ってほしい【写真:浜田洋平】

普段から惚れ惚れする井上のスパー、今夜はどんな姿を見せるのか

「ボクシングを見てもらって、また頑張る気持ちを与えたい」という気概で臨んだコロナ禍のイベント。減量なしでバンタム級の53.5キロより約9キロ重かったため、試合ほどのスピードではない。それでもプロとして一仕事を終え、大粒の汗を滴らせた表情に満足感を漂わせていた。

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「真剣度は100%。会場に足を運んでくださる方がいる。責任感もあるし、満足して帰ってもらいたい。今日はその方々に向けて発信するスパーだった。正直、今回は僕にメリットがないんですよ。『比嘉選手がどれだけやれるか』という見方をされる。僕はレベルの差を見せなきゃいけないだけですし、互角だと自分の評価は保てない」

 井上のスパーは普段から惚れ惚れする。大橋ジムへ見学に行くと、ラウンドごとに違う動きをしてリング上を支配する。ボコボコに打ちに行く時、左ジャブだけで相手をコントロールする時、足を使う時。ディフェンスでもガードを固めてあえて相手に打たせたり、ノーガードでパンチを避けたりする。

 何の練習なのか明確で、全ての技術が超一流。試合用よりグラブが大きく、ヘッドギアをつけていても、2、3階級上のパートナーが次々と倒れていくのは日常茶飯事だ。どのジムに行ってもなかなかお目にかかれない“パフォーマンス”がそこにはある。

 比嘉戦のVIP席チケットは1枚10万円だった。ノニト・ドネア(フィリピン)と激闘を繰り広げた19年11月のWBSS決勝(さいたまスーパーアリーナ)、1988年3月のマイク・タイソン―トニー・タッブス(東京ドーム)のリングサイド席と同じ値段。エキシビション、しかもスパーにもかかわらず、過去の世界戦並みだ。強気な値段設定に思うかもしれないが、個人的にはそれくらいか、それ以上の価値だと思っている。

 今夜は、アラン・ディパエン(タイ)との防衛戦(東京・両国国技館)。768日ぶりの国内公式戦だ。相手はIBF5位、WBA10位で12勝(11KO)2敗のため、下馬評では井上の圧倒的優勢とされている。最高15万円のチケットは即完。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、どうやって料理するのか、楽しみでならない。井上は13日の前日会見でこう宣言した。

「素晴らしい試合をお見せする。期待、想像を超える勝ち方をしたい。楽しみにしていてください。絶対に見てよかったなと思ってもらえる試合をしたい」

 ボクシングファンにとって、モンスターのレベルがどれほどのものか周知の事実。ただ、それ以外の人々には凄さが伝わりきっていないのではないか。PPVの購入はまだ間に合う。パウンド・フォー・パウンドで上位に居続ける偉業。今、日本人が夢のまた夢の世界にいることを多くの人に知ってほしい。

(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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