世界との距離が遠かった陸上1500m 田中希実、自ら達成して思う「五輪8位入賞の価値」
世界から遠い種目に励むジュニア世代へ「極めればどんな種目にも対応できるんだよ」
強力なエンジンを積んだ海外勢。集団でひと際目立つ小さな体でペースの上げ下げに対抗する。世界のタフなレースを戦い抜くには何が必要なのか。
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「とにかくメンタル面。怯まずに行く気持ちが大事。オリンピックだからこそ『怯まない』『細かいことを考えても仕方がない』というふうにリミッターが外れるので、うまく結果が出たのかなと思います。逆に言えばオリンピックだからこそ、その精神になれた。普段から怯まずに行く気持ちが大事じゃないかなと思います」
序盤だけでも、途中の数十秒だけでも、自分が前に出てレースを引っ張り、ゲームメイクに関わっていく。貪欲な姿勢の大切さを説いた。国内では田中を中心にレースが動く。スタートから全開で大逃げを打つ時もあれば、終盤に一気にギアチェンジするレースも。「走る」というシンプルな動きにたっぷりと詰まったワクワク感。その姿は観客を魅了してきた。
世界8位の価値を語った後、同じような“世界から遠い種目”に励むジュニア世代に向けてメッセージを添えた。
「この種目で結果を残せたのは凄く良かった。だから、これからも1500メートルの良さを小学生、中学生に知っていただきたいと思います。今後、私自身も800メートルなどのより短い距離、5000メートル以降の長い距離で活躍することで『1500メートルを極めればどんな種目にも対応できるんだよ』ということを、自分の身をもって示していけるようになりたいなって思います」
まだ、目の前には7人いた。自らの記録を超え、今後も日本陸上界にさらなる価値を生み出していく。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)