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ボクシングのアマはプロと何が違う? 世界選手権で史上初、日本人W金メダルの快挙

短い時間ではプロもトップアマの動きについていくのに一苦労

 プロとアマチュアというと、プロが上でアマチュアが下にあるように思われるが、決してそんなことはない。プロとアマチュアの関係は、選手の引き抜きなどがあり悪化していた時期もあるが、最近ではお互いの競技の向上のため積極的に交流している。

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 今年の2月に行われたチャリティーボクシングイベント「LEGEND」では、トップアマとプロのエキシビションマッチが行われ話題を呼んだ。アマとプロでは試合時間が違うため、プロのチャンピオンクラスでもトップアマの動きについていくのは一苦労だ。短時間であれば、スピードがあるアマチュア選手が有利に戦う。アマチュアのウェルター級岡澤セオンはプロの若手ホープである佐々木尽と、アマチュアのミドル級森脇唯人はプロのWBOアジアウェルター級王者である井上岳志と戦った。3分3ラウンドで、非常に中身の濃い試合内容で観客を大いに盛り上げた。

 東京五輪では、アマチュアの選手3名がメダルを獲得するという金字塔を打ち立てた。アマチュアボクシングは数年前に比べ、驚くほど選手のレベルが上がっている。

 私がアマチュアボクサーとして戦っていた時は、日本は弱小国だった。当時は内山高志氏や八重樫東氏など、後にプロに転向して大活躍する選手がいたが、国際大会では無名だった。1試合勝てれば良しとされていた時代で、冬の時代だったと言える。しかし、近年では東京五輪に続きアマチュア最高の大会と言われる世界選手権で2名がメダルを獲得するなど、目覚ましい活躍を見せている。

 今回の世界選手権で金メダルを獲得した1人、ウェルター級の岡澤セオンは東京五輪でメダル獲得が期待されていた選手だ。しかし、ベスト16で金メダルを獲得したイグレシアスに惜敗した。もう1人のバンタム級の坪井智也は、東京五輪で銅メダルを獲得した田中亮明に五輪予選で敗れている。共に五輪で悔しい思いをした2人が、その雪辱として世界選手権で史上初となる快挙を達成した。2024年に開催されるパリ五輪が楽しみだ。

(木村 悠 / Yu Kimura)

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木村 悠

1983年生まれ。大学卒業後の2006年にプロデビューし、商社に勤めながら戦う異色の「商社マンボクサー」として注目を集める。2014年に日本ライトフライ級王座を獲得すると、2015年11月には世界初挑戦で第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオンとなった。2016年の現役引退後は、株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動、社員研修、ダイエット事業など多方面で活躍。2019年から『オンラインジム』をオープンすると、2021年7月には初の著書『ザ・ラストダイエット』(集英社)を上梓した。

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