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教員の「部活指導負担」問題は解消できるか やりたい人の“指導する権利”も守る米国

指導希望しない教員に強要しない米国、一方で課題も…

 米国では、教員と外部からの指導者が部活動指導にあたっている。地域や種目によって大きく異なるが、全米レベルでみると、おおよそ半数が教員、半数が外部からの指導者だといわれている。

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 各州の規則や学区によって異なるが、指導者を割り当てる一般的な手順は、まず、学校内で適任者を募り、適任者や希望者からの応募がない場合には外部に指導者を求める。これまでもレポートしてきたが、部活動指導を担う教員、外部からの指導者ともに、1シーズン(約3~4か月)の指導に対し、年間給与の1割程度の報酬が支払われることが多い。

 米国では、活動時間、活動日数の多い部活動の指導を、希望しない教員に無理に引き受けさせることはできない。だから、嫌なのに管理職から無償で指導するように強要されるという問題は、現時点では、ほとんどないといってよいだろう。

 その一方で、教員が部活動指導をしたいと手を挙げたのに、外部の指導者に部活動コーチ職を奪われて、教育委員会に似た役割を持つ学区に対して不服申し立てしているケースはある。

 米国ではどのように部活動指導者を選び、どのように指導報酬を支払うかを、各学区と教員組合との労使協定で決めていることが多い。部活動指導の採用に関して揉めた場合には、調停者が間に入って、この協定をもとに両者の言い分を聞いて解決を図る。前述したように、労使協定では、まず、教員から適任者を募り、適任者がいない場合は、外部から採用すると規定している学区が多い。

 しかし、ある学区では、教員が指導を希望したにもかかわらず、外部の指導者が採用された。このときの調停の結果は、この教員が適任者であるかどうかによって採用の判断をされるが、外部指導者と比べて、より適任者である必要はないとされ、教員が部活動指導をすることが優先された。

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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