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ラグビー日本代表、欧州遠征の見所 司令塔は誰に、“ポスト福岡堅樹”争いも熾烈 

オーストラリア、アイルランドらと4試合を戦う秋の日本代表入りを目指す候補メンバーが9月21日に発表された。候補選手39人、そして育成メンバーのナショナルディベロップメントスコッド(NDS)の5人が、今月29日からの宮崎合宿に集まり、10月15日には正代表に絞り込まれる。コロナ禍の中で2019年ワールドカップ(W杯)日本大会以来の招集となった6、7月の欧州遠征から新たに選ばれたのはわずか6人。将来性を買われたNDS組以外は、戦力の上乗せはほぼなかった。次回2023年フランス大会で掲げるトップ4進出へ、課題となる選手層の厚みをどう増していくのか。キーマンとなる指令塔の座、そしてポスト福岡堅樹を模索するWTBと、注目されるポジション争いから2年後のジャパンの姿を読み解いてみた。(文=吉田宏)

2019年W杯で司令塔を務めた田村優【写真:Getty Images】
2019年W杯で司令塔を務めた田村優【写真:Getty Images】

吉田宏記者のコラム、強豪と戦う日本代表メンバーを考察

 オーストラリア、アイルランドらと4試合を戦う秋の日本代表入りを目指す候補メンバーが9月21日に発表された。候補選手39人、そして育成メンバーのナショナルディベロップメントスコッド(NDS)の5人が、今月29日からの宮崎合宿に集まり、10月15日には正代表に絞り込まれる。コロナ禍の中で2019年ワールドカップ(W杯)日本大会以来の招集となった6、7月の欧州遠征から新たに選ばれたのはわずか6人。将来性を買われたNDS組以外は、戦力の上乗せはほぼなかった。次回2023年フランス大会で掲げるトップ4進出へ、課題となる選手層の厚みをどう増していくのか。キーマンとなる指令塔の座、そしてポスト福岡堅樹を模索するWTBと、注目されるポジション争いから2年後のジャパンの姿を読み解いてみた。(文=吉田宏)

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 2023年W杯へ向けた強化が再開される。ブリティッシュ&アイリッシュライオンズ、アイルランドに挑んだ夏の遠征から2か月あまり。2年後のトップ4入りへ、足踏みは許されない。母国ニュージーランド滞在中だったジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)に代わりリモートでのブリーフィングに臨んだ藤井雄一郎ナショナルチームディレクターに、2年後を踏まえた秋の代表戦の位置づけと狙いを聞いてみた。

「なかなか国際試合ができない状況で、貴重な4試合になる。どの選手がプレッシャーのかかった中でもしっかりしたプレーができるのかを見極めることと、選手のパフォーマンスを見極めることを含めて、しっかりと国際試合の中で勝利していきたい。その2つを目標に、ワールドカップから逆算して、どの部分が足りなくて、どの部分が戦えそうか、どういうオプションやスキルが有効かというのをしっかりと見極めていくことになる」

 候補メンバーの顔ぶれは、39人中33人が夏の代表組で、6人が新たに加わる布陣。その6人も、SH流大(サントリー)ら3人が2019年大会メンバーからの復帰で、2人は春の候補選手と、新顔は不在だった。「トップリーグ(TL)を終えて、体調管理、モチベーションを含めて、ちょっと冷却期間が必要」(藤井D)という説明で、HO堀江翔太(パナソニック)らの合流は見送られた。

 発表されたメンバーの中に名前はなかったが、すでに新シーズンをスタートしたフランス1部リーグ「トップ14」でプレーするFB松島幸太朗(ASMクレルモン・オーヴェルニュ)は、夏のツアーと同様に現地欧州での合流が決まっている。

 2年後のW杯でジェイミー・ジャパンが目標に掲げるのは、ベスト8入りを遂げた前回大会を上回る成績だ。そのためには選手層に厚みを持たせることが課題なのは、前回大会直後からチーム内外で論じられてきた。藤井Dも会見で「次の世代も、ポジションも含めて上手く入れ替えていかないといけない。もちろん、次のW杯に出られる可能性は十分ある」と次世代の代表選手発掘の重要性を訴える。夏の遠征ではPRクレイグ・ミラー(パナソニック)、WTBセミシ・マシレワ(近鉄)ら5人の海外出身選手が代表規約をクリアしてデビューを果たす収穫があったのだが、今回の合宿、遠征は様相が異なる。

 21日に発表された候補メンバーでも、4人の海外勢が代表デビューを目指すが、夏の遠征までの候補メンバーばかりで“新顔”不在の顔ぶれだ。日本勢も含めてだが、藤井Dが「なかなか6、7月のテストマッチの後に若い世代の試合を観る機会が無かった」とこぼすように、いまだに続くコロナ感染対策の影響でラグビーも活動が制約されてきたため、新たな戦力を見定める機会はほとんどなかった。同Dが「若い世代の選手を見たかったので、前回TLで活躍した選手や、情報を得た選手の中から呼んでいる」と明かすように、セレクションは、昨季TLまでと代表での評価で行われている。代表入りを目指す新たな選手たちには、アピールの場さえなかったのだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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