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「試合中に敬語使ったらぶん殴る」 松田直樹とマリノス黄金時代を生きた3人が語る素顔

現役時代は松田さんと守備陣を支えた那須大亮さん【写真:Getty Images】
現役時代は松田さんと守備陣を支えた那須大亮さん【写真:Getty Images】

代理人となった坂田の思い「マツさんみたいな能力の高い原石を探している」

――松田さんとの思い出で忘れないことを何か一つ挙げてもらうとすると。

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坂田「若手の頃、俺も勇蔵もシャカシャカばっかり着ていたのを見兼ねたマツさんが、ブランドの展示会とかデザイナーに会わせてくれて。『こいつ、マジで服装のセンスないから直してやって』みたいな感じで。マツさんってモデル体型だし、着ている服もカッコ良かったから、そこに引っ張り出してくれたことはうれしかった。支払いは自分だったけど(笑)。そうじゃなかったら今もシャカシャカ着ていると思う」

那須「僕はプロ1年目で出番がなくて、実力もないのに変なプライドが邪魔して腐りかけていたときに、マツさんが『お前が元気ねえと、俺もつまんねえよ』ってあの人なりに励ましてくれて。そこから頑張んないといけないと思って、2年目からバチバチやらせてもらいましたけど、サッカーにおいて自分のコアな部分を作ってもらったなって」

栗原「F・マリノスで最後のシーズンになった2010年に、シーズン終盤の試合でちょっといい感じの試合があって、マツさんから『きょうのお前、マジで頼もしかった』と急に熱い言葉を掛けられて。あんまり褒められたことがなかったからうれしかった一方で、『じゃあ、今までの俺は何だったんだ?』とも思ったけど(笑)。その一言は、強烈に覚えているかな」

――天国に旅立ってから10年が経ちます。どんなときに松田さんを思い出しますか?

栗原「よく他のチームで“ミスター”って呼ばれる選手がいるじゃないですか。そういうときに、F・マリノスで言うとやっぱりマツさんだし、その人たちと比べても人気やカリスマ性はすごいなって思う。亡くなって10年経ったら普通、人の記憶から薄れていくはずなのに、全く消えない。それが何よりすごい」

那須「今のサッカーを見ていると、思うというか、考えるというか。マツさんのメンタリティや情熱が現代に必要なんじゃないかって。結局チームスポーツだから、本質を突くには周りを巻き込まなきゃいけない。チームメイトも、ファン・サポーターも。そこをマツさんは見事に体現していた。だからそこはマツさんを知っている自分たちが語り継いでいかなきゃいけないって思いますね」

坂田「マツさんを思い出す機会って本当にたくさんある。先月行われたEURO2020でデンマーク代表のエリクセンが倒れた際にマツさんのことを考えたし、AEDを目にしたら頭にパッとマツさんが浮かんだりする。命日が近づくと、こういったマツさんに関する企画も多いじゃないですか。それに自分の仕事(日本サッカー協会登録仲介人)にしても、マツさんみたいな能力の高い原石を探しているところがある。何だかんだと言って、マツさんのことを思い出すのはすごく多いし、それはこれからも変わらないと思います」

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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